
シリーズNo.1 チェルノブイリ原発事故
よつ葉50年の歴史の中で、日本でも世界でもいろんな出来事や事件がありました。そうした出来事に対して、よつ葉はこれまでどのように向き合ってきたのか。このシリーズでは、そのいくつかを取り上げて振り返ってみます。
単なる思い出話としてではなく、現在のよつ葉の活動や考え方の基礎となり、未来の指針にしていくために。
チェルノブイリ原発事故がよつ葉の活動を変えた
私たちが事業を始めて10年ほどだった1986年に、チェルノブイリ原発事故が起こりました。この出来事は、以後の活動の在り方に大きな影響をもたらした事件として記憶しています。
欧州の遠く離れた地域でも高濃度の放射能汚染が確認され、日本でも不安が拡がりました。食品、特に草を食んで乳を出す牛乳への汚染が懸念されました。事故が起きたのは4月で、新鮮な春の草を食む牛の姿が浮かび、汚染への不安を掻き立てます。
その頃は、まだ私たちの事業の主力は牛乳でしたので、牛乳の購入を控える人たちが日ごとに増えていく事態は深刻でした。見えないものへの不安は歯止めがありません。苦し紛れの対応をする同業の流通事業者も多々あり、かなり混乱した事態でした。
そんななか、根拠も定かでない不安に動揺しても仕方がないので、つてを頼り、大阪・熊取にある京都大学原子炉実験所(現複合原子力科学研究所)の研究者に検査を依頼しました。幸いなことに、研究事業として、3年間牛乳の検体を送ることを条件に、引き受けてもらいました。その結果、低濃度ではありましたが、事故由来の汚染が確認されました。不安の正体がわかり、私たちの意見も記して公表しました。公表の是非は、私たちの内部でも議論が沸騰しましたが、隠しても何もいいことはない、あとは購入者の判断にゆだねるというものでした。
公表した結果は、好感をもって受け止めてもらい、牛乳の購入減少は止まり、減った分も元に戻りました。その時、実感したのは、人は真実を求めている、それがわかれば不安は解消し、あとは個々人の対応にまかせればよい、というものでした。
この経験はさまざまな負の出来事に対する私たちの基本的な立場となりました。出来事に正面から向き合う、臭いものにふたをしない、社会的な問題として真実を追求する。
長い食の歴史の中で、人々は口にするものを安心できるものに変えてきました。それが、近年、安全を損なう出来事が多く発生するようになってきた。なぜなのか?その問いに真摯に向き合い、こたえを見つけていくことが私たちの食の仕事ということになりました。
(元関西よつ葉連絡会事務局 鈴木伸明)
