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よつ葉ホームデリバリー

2024年第137便₋1

あかうしと林業

 

 

能勢農場では月に一度林業に従事している方に木の伐採方法などを教えてもらっています。始まりは6年ほど前。豪雨や台風の影響で裏山で土砂崩れが起こり、危うく宿舎や食堂が流されそうになり、山林の管理ができていないことを痛感したことから始まりました。その頃放牧事業を試験的にスタートさせており、将来的に山林を切り開いて放牧地の拡充をしていくことも考えていたので、その方とお会いする機会があり、タイミング良く来ていただけるようになりました。当初は作業のほとんどを見ているだけだったのが今では技術的なことや考え方もおしえてもらえるようになり、よつ葉の職員や興味のある人も研修として参加しています。

 

山林は能勢町のみならず全国的に管理ができていないところが多く、伸び放題、生え放題となると地面に日が当たらずに地盤が弱くなり土砂崩れが起こりやすいのです。なぜこのような状況になっているのかというと、昔は木の値段も高く取引されており、山1反の面積の木を切ると家族が1年以上暮らせたのが今は半月も暮らせないくらいの収入にしかなりません。そうなると山主や地権者はそこにお金をかけることができなくなり、放置されて誰の物なのかもわからない山林も多くなってしまう。そして、高値で取引されていた当時に植林した木が60年ほどの年月を経てちょうど伐採の適期を迎えているにもかかわらず、輸入木材やマンションのように木材を使わないため伐採されない山林が増えていくのではないかと思います。あかうしの放牧はそのような山林を牛に管理してもらうようにと始めているのですが、手つかずの状態の山林にいきなり放牧など出来るわけなどなく、間伐して日が当たるようにして、下草が生えるような環境を人間が作り出す必要があります。

 

今能勢農場には試験的に始めたときに導入したあかうしが2頭おり、去年産まれた仔牛と高知県へ預託している母牛(能勢農場で産まれた牛)が産んだ仔牛の2頭を繫殖用に育てています。その仔牛の放牧先として新たに山林を切り拓いて行こうとしています。その山林も地権者のはっきりしているところもあれば複数人の持ち主のところもあり、そういった山林を将来的には放牧地として使わせていただきたい。その為にも地権者の方々だけではなく能勢で暮らしている人たちにも認知してもらえるような放牧地にしていきたい。そして将来は放牧地に囲まれた能勢農場となるようにしていきたい。牛と共に山の管理を任せてもらえるようになるためにも、もっと技術や山の役割について学んでいきたいと考えています。ちなみに間伐した材木はチェーンソーを使って自分たちで加工して牧柵として使用するなど無駄のないようにすることも考えています。

 

最後に――
気候変動の影響のひとつであるCO2を吸収してくれる木を切らないでと言う人もいます。濫伐やお金儲けの為に必要以上に木を切ることなく、自然との共生をどのように考えるのかが大事なことであり、牛を山林に放牧することも自然との共生ではないかと思います。

(能勢農場 道下 慎一)