2024年第144便₋3
「土から学び直す連続セミナー」
中間報告
~主催 吉村農園さんからの報告~
3年ほど前から不耕起・カバークロップ・多様性で肥料も農薬も使わずに作物を育てられるというリジェネラティブ農業を始めました。しかし、実践していくにあたって、能勢でも、どんな土質の地域でも、無肥料・無農薬で作物が育つのかという疑問がありました。実際、菌ちゃん農法も奇跡のりんごの木村さんの圃場も地質図を調べると作物栽培に条件のいい土質だそうです。夫の次郎が色々調べて行くうちに今回のセミナーの講師の齋藤さんのブログにたどり着き、やはり土質は生産性を決める重要な因子であることを確信しました。幸運なことによつ葉の仲間である高槻生協の農業事業部の早瀬さん主催で齋藤さんの勉強会が開催されていることを知り、次郎も参加させてもらいました。齋藤さんのお話しは興味深くためになり、「ぜひ能勢の仲間にも聞いてもらいたい!」ということで、ご縁に恵まれトントン拍子で「土から学び直す連続セミナー」の企画が進んだのでした。
10月6日の第一回目「土壌の生物性について」には44名の方が参加してくれました。
農家は作物を植える前に土にどんな栄養素が不足か過剰かという化学的要因を調べるためにJA等に頼んで土壌分析をします。能勢のような土質のところではリン酸と石灰が過剰になっている傾向が見られ、こういう圃場は病害虫が多くリン酸値は少し低めぐらいの方が秀品率が高くなるそうです。作物を育てる三大栄養素の一つであるリン酸が少ない方がうまくいくというのが意外で興味深かったです。実は土壌分析で検出できないリン酸が土の中にはたくさんあるそうです。植物に寄生して病気を発生させる植物寄生菌というのがいます。植物寄生菌は病気の出ていない元気な作物の圃場にもいます。土壌分析でリン酸値が高い圃場では植物寄生菌は植物への寄生性が強くなります。でもリン酸値が低い圃場では植物寄生菌はなんと植物と協力してリン酸を採りに行くことがわかってきているそうです! たくさんありすぎるとトラブルを引き起こし、不足していると協力しあう・・・菌と植物の関係をなんとなく人間社会に重ね合わせてしまいました。
この便りが皆様に読まれる頃には第二回目は終わっていますが、第三回~第五回は受付中です。ご興味ある方はぜひご連絡ください。
(吉村 聡子)
~セミナーを受講して~
今回、吉村先輩夫婦が主催するセミナーに参加させていただきました。吉村先輩がやるんやったら行こかーぐらいの軽い気持ちで参加したのですが、行けばびっくり京都農販さんが講師でした。
私自身九条系のネギを作っており、京都のネギ農家さんがよく勉強会の講師に招いていた会社で一度は聞いてみたいと思っていたので、とてもラッキーでした。
私自身土壌医の2級を持っていて(そないに自慢出来るもんでもございませんが……)、ある程度の土の知識はあると思っていたのですが、自分達が足をはこんで調べあげたデータに基づく知見からくる内容(リン酸が悪さをすることや、菌は糸状菌だけみればいいなど)で、とても勉強になりました。教えていただいた内容を自分で取り入れる事はなかなか難しい部分もありますが、少しずつでもいい土に変えられるよう努力したいと思います。
この様な機会を設けていただきありがとうございました。残り3回もよろしくお願い致します。
(瀬尾 紀行)
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これまで、いろんな種類の野菜を育てるために、ネットや本、農業系雑誌、ユーチューブ、講演会などでつまみ食いの様に勉強してきました。ものによっては真逆のことが書かれていたり、一つの野菜でも手法がいくつもあったりして、混乱することも。
今回のセミナーでは、化学的に土の中でどんな反応や変化が起きているか知ることができたので、これまでのつまみ食いの勉強の裏付けができました。
人が手を加えて、よい土をつくることが、いかに難しいことかも、よくわかりました。
化学的によい土の圃場には、ナズナが多く生えるそう。これまで聞いてきた経験則だと思っていたことが、化学的にも根拠のあることで、驚きました。
このあとのセミナーも楽しみです。
(中井 真理子)
今は昔、幼な子に食べかけのお菓子を手に持たせたままお店に入った私を店主の方は叱って下さった。これくらい許されるかな、と思っていたと思います。そんな経験もあって共有のスペースというもの(こと)を折りに触れ考えます。それは単にみんなが使う所というだけではなくて、時代を超えて使うということも含んでいて、だから私は農地を大きく掘り起こしてコンクリートで固めることに賛成できないです(大きい話)。
今回のセミナーで初めてふれあいプラザに行きました。会場は昔の木造校舎でいうと6年生の教室のあった辺り。(ああ、こうしてまたたくさんの人がここで出会ってゆくんだなぁ)と思うと母校も喜んでいる気がして、ちょっと感傷的になって……いたからかも知れません。何が言いたいかと言いますと、会場への作業靴での入室が気になったのでした(それと落とされた土の組成と)。あっという間の2時間でした。次回も楽しみです。
(桑田 都世美)
セイフティフルーツ
育てたみかんを食べてほしい
ここ数年でしまなみ耕作会は生産者や生産量は減少傾向にあります。お亡くなりになったり、長期入院になってしまったり、高齢化による耕作面積の減少が原因です。私が預かれる畑はなるべく預かるようにしているのですが限界が来ています。また、父たちの時代のように島の農家と有機栽培をする仲間を増やしていくということが出来ていないからです。普通栽培農家が有機栽培に切り替えるということは皆無で島にも有機栽培農家や自然栽培をする人も昔に比べ増えたと思いますが、今の時代は自分でWEBサイトを無料で作れたり、SNSで発信したりして販売することが手軽にできるようになっているので、販売協力などみんなでやらなくても良くなったことも一因です。有機栽培農家も巨大流通組織に入るか個人で販売するか2極化してきているように感じています。自分で販売して売れなかったものを流通に買ってもらうそんな都合の良い付き合い方もよく聞きます。
移住者が本業をする傍ら農業をされる方も増えてきているようで島の農業も多様性が出てきています。半農半Xという言葉を古く感じる今日この頃ですが、島では少しずつですが増えています。生産量が少なくてもストーリーを付けてSNSで発信したり、ブランディングしたりして高単価で自分の力で柑橘を売り切っているようです。私はブランディングや高付加化価値農産品というものに興味もなく、労働の対価が得られれば良いと思っていて、むしろ胡散臭い人や矛盾だらけの人も多いのでそんな美辞麗句で販売することに嫌悪感すら持っていることに、私もいつの間にか芸達者に生きられない古い人間になったなぁとしみじみ思うようになりました。
一方で自分が作ったものを自分ですべて売り切るというのは本当に大変で、特に有機栽培や自然農では病害虫被害に遭うことも多々あり、世間でいう3級品や規格外品レベルのものが毎年数トンできてしまいます。この品質の柑橘の販売が難しく、ジュース工場に原料として格安で引き取ってもらったり、廃棄したりと正品率を上げることが毎年の課題ですが、毎年異常気象ですべての柑橘がうまくいったという年は一度もありません。今年のみかんは特に大変で収穫まであと1ヶ月~1ヶ月半というところで今まで経験したことがないほどサビダニが大発生し、早生みかんも中生みかんも7~8割ほど茶色く変色してしまい売り物にならなくなりました。その他レモンやブラッドオレンジもある程度被害が出てしまいたった1回のサビダニ被害で200万円弱ほどの売り上げが飛んでしまったことで落ち込んでいましたが、スタッフや友人たちが中身はおいしいから売ろうとチラシを作ってくれたり、InstagramなどのSNSで紹介してくれたり、よつば農産の方にも現状を話したら職員向けに販売してみると言ってくれて、畑にそのまま捨てるかジュース工場に引き取ってもらうかしかないと思っていたみかんがなんとか人の手に取ってもらえるように動きだしました。労働の対価まで貰えるほどのみかんではないけど、自らの手で廃棄せずに誰かに食べてもらえることは本当に嬉しく、人の繋がりに元気をもらえました。来年のみかんは絶対に美味しいものをお届けできるよう、これまでの経験を活かし頑張ります。
(しまなみ耕作会 能勢 賢太郎)


