2026年第147便₋1
国連総会から思うこと
2022年2月から始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻、2023年10月からのイスラエルによるパレスチナ自治区への一方的な軍事攻撃、そして今年の1月にアメリカによるベネズエラへの軍事攻撃と大統領の拉致、2月にはアメリカとイスラエルによるイランへの軍事攻撃など戦争や虐殺は止むどころか世界のあちらこちらに飛び火しそうな状況が生まれている。
先日行われた国連総会のテーマは「国際平和と安全」「開発と経済」「地球規模の課題」「国連の改革」だが「国際平和と安全」については戦争や虐殺を行っている当事国が相も変わらず自分たちの行動を認めてくれと言わんばかりの主張を繰り返すのみならず、自国にとって都合の悪い国や組織への威圧と脅しや排除など帝国主義以外の何物でもないような発言がされるばかりで、平和や安全に向けた世界秩序を取り戻すことなどできるわけがないと感じている。
日本に至っては戦争の当事国ではないが、世界の平和と秩序を法で守っているICC(所長を務めているのは日本人)がいわれもないことで制裁や潰されそうになっているにも関わらず擁護しようともせず、アメリカにすり寄る態度を見せ続けていることにはうんざりしている。そして日本が防衛力の強化という理由で全国へのミサイル弾薬庫の増設、空港や港を戦争が起こった場合に利用するにあたって訓練する目的としての特定利用空港・港湾(伊丹空港や神戸港、関空もその対象)の拡大、防衛力強化のための法整備を進めている。
そもそも日本は専守防衛が基本であり憲法にも9条にそのことが書かれている。にもかかわらず防衛力強化の理由を問われた首相は「台湾有事」と答えたことで中国との関係が悪化の一途をたどっていて、それが当たり前のように日本国内でSNSやメディアを通して中国を悪者扱いする風潮が生まれてきているように思う。そのような状況の中で国連総会での「旧敵国条項の削除」を求めたことへの中国(北朝鮮も)の反発は当たり前のことであり、そもそも第2次大戦で中国や朝鮮に対して行った侵略行為の清算が済んでいないのが原因である。そういう意味では日本も戦前の帝国主義の国家に戻りつつあるように思う。
「開発と経済」「地球規模の課題」については同じ目線で考えられる。どちらも大国にとって自国優先でしか考えていないため、未だに封鎖状態が続いているホルムズ海峡の影響(だけではない)もあり様々なものの物価が上がっている。食料品もその一つであり、その食料を生産する一次産業は深刻な状況である。
野菜やコメを作るには畑や田んぼに肥料を入れ、トラクターで耕し、種をまく。雑草対策のためのマルチ、草刈のための草刈り機、出来た作物を商品として売るための袋などほとんどが石油由来でできている。その石油が入ってこない事態に陥り、石油由来の品が不足したり値上がりなどで資材コストも上がることで生産費が圧迫されても、農家はほとんど休みなく働いていて(雨でもハウス内で作業や機械整備などしている)苦労して作った野菜やコメが1円でも高いと売れないという状況であり、それでも頑張って汗水流して作物を育ててくれている。
能勢農場は牛を育てたり、動物とのふれあいのための移動動物園を事業としているが、一次産業にあたる肉牛の生産も行っている。肉牛や乳製品、豚肉、卵や鶏肉など畜産業で育てている動物たちがエサとして食べているものの元は畑や田んぼで作られたものである。国産100%では無理なためほとんどが輸入品となり、そのエサの値段が自国の利益だけを考えている帝国主義や戦争、地球環境(気候危機)の悪化により輸入量が減り、天候不順により作物生産量の減少といった理由でこの数年上がり続けている。厳密には少し下がって大幅に上がってを繰り返しているため畜産業をやめる農家が増え続けている。
能勢農場もその影響からは逃れられず危機的な状況に陥っている。何とか能勢食肉センターやよつ葉の会員に支えてもらってやれているが、いずれ限界が来ないと言い切れない状況ではある。地球環境の悪化で言えば国連総会で話し合うことも大事ではあるが一人ひとりがCO2削減に向けて動くことが大切だと感じている。今年熊の出没が大きく取り沙汰されているが熊と人間の遭遇は昔からあった。違ってきているのは本来臆病なはずの熊が背後から人間を襲うようなことが起きている。それだけ人間の住んでいるところに熊が来ている理由は生息する環境が破壊されてきているのではないかと思う。山に囲まれている能勢でも熊の目撃は昔からあり、日本各地で人間を襲う事例が起こっているため能勢でも可能性がないとは言い切れない。
今年の夏の林間学校の申し込みの際、「熊は大丈夫ですか?」と聞かれた。熊の嫌がるにおいを出す容器や笛を用意するなど対策は考えたがリスクはゼロではない。来年どうなるかわからないが様々なリスクを抱えてまでやれるかどうか思案中である。
「国連の改革」というテーマでも話し合われたが、力を持っている国が自国の利益しか考えていないのであれば改革も簡単には進まないのではないかと思われる。世界規模となると大きすぎて自分たちはどうしたらいいのかと考えてしまうが、身近な所から考えたり、政治から目をそらさないようにしていきたいと思う。
(能勢農場 道下 慎一)
