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よつ葉ホームデリバリー

企業からの研究費で左右される、人工甘味料の安全性評価

カロリーを抑えた食品に使われ、ダイエットによいとされているアスパルテームなどの人工甘味料について、国際組織が相次いで警鐘を鳴らしました。その一つがWHO(世界保健機関)で、ダイエットやがんなどの疾患防止に使用しないよう求めました。アスパルテームは以前から、脳腫瘍などの発がん性が疑われてきました。アスパルテームの仲間にネオテームがあります。警告された人工甘味料にはその他にも、アセスルファムK,スクラロースなどがあり、いずれも以前から健康障害をもたらすと指摘されてきました。
WHOの専門家機関のIARC(国際がん研究機関)もまた、アスパルテームを発がん性物質として、グループ2Bのリストに掲載しました。アスパルテームの安全性については、ユニークな研究があります。その背景には、1990年代に米国で医師たちが使用許可の取り消しを求めた運動があります。
その研究者はノースイースト・オハイオ医科大学のラルフ・G・ウォルトン博士で、安全性に関する論文(1976年〜98年)を分析しました。その結果、アスパルテームを作っている企業から研究費をもらって研究した論文は全部で74、脳腫瘍などの有害性を指摘した論文は0で、安全だとした論文は74でした。これに対してアスパルテームを作っている企業から研究費をもらわずに研究した論文は91で、脳腫瘍などの有害性を指摘した論文は84(92%)にのぼり、安全だとした論文はわずか7でした。全体では、有害84・安全81と拮抗しており、企業の研究費でその結果は薄められていたのです。

天笠啓祐さん

環境・食品ジャーナリスト。市民バイオテクノロジー情報室代表。「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」代表。日本消費者連盟顧問。