進む“魚の改造”
ゲノム編集魚の開発や陸上養殖が話題になっていますが、他にも新しい技術を用いた魚の開発が進んでいます。そのひとつが代理親魚の作成で、サケを誕生させるニジマスが作られました。開発したのは東京海洋大学の研究チームで、ニジマスの雄にサケの精子を作る細胞のおおもとの細胞を移植し、ニジマスの雌にはサケの卵子を作るおおもとの細胞を移植します。そうするとニジマスがサケの子どもを作り出す精子や卵子を作り出すことになります。
魚は体外受精ですので、このニジマスが体外に排出した卵子に精子を振りかけ受精させるとサケが誕生します。サケの場合、その多くが産卵すると死にますが、ニジマスは死なないため繰り返し赤ちゃんを誕生させることができるとしています。同研究チームは、同じ原理を利用してサバにマグロを生産させる試みも進めています。
変わった例が、イスラエルで開発された細胞培養により作成された刺身のトロです。同国で魚肉を開発しているワンダ・フィッシュ社がその試作品を発表しました。細胞培養技術は、これまでは主に牛肉を用いて進められてきましたが、魚での応用も広がっています。ここではクロマグロの細胞を培養して作成された筋肉と、植物成分から作られた脂肪を組み合わせています。本物と同程度の見た目と食感を作り出しているとしています。日本でもスシローを展開するフード&ライフカンパニーズが細胞培養での魚肉の開発を進めています。このような「魚」を、本当に食べものというのでしょうか。