広がるPFAS汚染、進まない規制
有害なPFASによる水や食品の汚染が広がっています。水道水の汚染が広がっていることから、環境省は正式に水質基準を設けて、2026年4月から検査を義務付けることにしました。しかし、検査を義務化するのはPFOA、PFOSの2種類だけで、2つを合わせた数値で1リットル当たり50ナノグラムです。米国は2024年に4ナノグラムと設定しました。それに比べて、実に緩やかな数字です。しかも、1万種類はある、その他のPFASは基準がなく野放しのままです。また同庁は、ミネラルウォーターの基準もこの水質基準に合わせることにしました。
PFASはまた、飲料水だけでなく食べものを通して摂取する機会も多いのです。以前、調査したところ、中国産のアサリから高濃度の汚染が見つかりました。水や土壌を汚染すると、生物はそれを取り込み体内で濃縮するため、思いがけず高濃度になることがあるのです。食品に関しては食品安全委員会が設定した耐容1日摂取量の20ナノグラム(体重1kg当たり)が続いていて、緩い数字ですが、しかもこの数値は規制ですらないのです。
検査が義務づけられているのが2種類だけなので、1万種類以上あるPFASがどこに使われているのか、どれが有害でどれが問題ないか、まだ全容はほとんど分かっていません。規制されているPFASの代替物も増えています。農薬でもネオニコチノイド系殺虫剤の代替農薬としてPFAS農薬が増えています。消費者はPFAS問題においても自分や家族を守るために、自ら対応しなければいけないのです。