進む培養肉の実用化へ向けた動き
大阪・関西万博での目玉の展示のひとつが、未来の食です。培養肉未来創造コンソーシアムでは、細胞を培養して作り出した牛肉と、家庭でも培養肉ができるミートメーカーが展示されています。この培養肉をマスメディアも未来の食として持ち上げています。
培養肉とは、工場で細胞を培養して作り出すステーキやすしのネタなどです。イスラエル・米国・シンガポールがこの分野の先進国ですが、日本でも開発が進められています。現在、日本で培養肉の開発に取り組んでいるのは3つのグループで、そのひとつが日清食品グループです。東大の研究者と組んで開発を進め、2022年3月に培養肉ステーキの試食会行いました。もうひとつが、大阪大学を中心としたコンソーシアムで、このグループが製造した培養牛肉が万博で展示されています。もうひとつがインテグリカルチャー社で、細胞培養でフォアグラを製造しており、2023年2月には試食会を開催しています。政府もまた、消費者庁が安全基準などの作成を進めている最中です。
日本企業と外国企業の連携も増えています。今年1月には、イスラエルのフォーシーフーズ社が培養うなぎを開発し、日本のレストラン「菜道」とのコラボを発表しました。5月には、マルハニチロがシンガポールのシーフード培養肉企業とクロマグロの培養肉開発で契約しています。しかし培養肉は、安全性が確認されていない、自然から逸脱した工業製品です。はたして、このようなものを食べものということができるのでしょうか。