令和のコメ騒動は解決するのか?
政府はこれまで、食料は輸入すればよい、農家はコメを作るなといい、家族経営の農家が生活できないように追い込んできました。その結果、食料自給率は低下したままであり、農業の現場から多くの農家が去るか、後継者がいなくなり、日本の農業は風前の灯火となりました。その結果起きたのが、今回のコメ騒動であり、農業政策の根本的問題点をさらけ出したものといえます。
政府はいま、コメの危機への対応を含めて、食料・農業政策を主に二つの方向で進めています。一つは低い食料自給率や海外への依存はそのまま継続させる方向です。以前と異なるのは、安ければどこからでも買うのではなく、敵と味方に分ける考え方を導入し、米国を基軸に北南米、EU、オセアニア依存で、安定供給体制の樹立を目指す考え方です。しかし、それはトランプ政権の圧力に屈しやすいことを意味します。
食料・農業政策のもう一つの柱は、国内生産の軸を農家ではなく企業に移行させるものです。企業が進める農業は、農地の大規模化とロボットやドローンなどの機械が行うスマート農業、そして植物工場です。スマート農業では、田植えをせず、種子を直接乾田に播く方向へ移行させようとしており、それに見合った品種や農薬の開発が進められています。植物工場では、小型化して1年に何度でも収穫でき、数段重ねることができる背丈の低い稲などの開発が進められています。その開発で、ゲノム編集技術などでの応用が進められています。このままでは農家の状況は改善されず、食卓の安全はいっそう脅かされます。