自然から切り離されていく食
このところ完全栄養食のような人工的な食事、細胞培養肉のような人工的な食肉、植物工場で育てた野菜や陸上養殖で育った魚など、自然から切り離された食べものが増えています。政府は、食料安全保障の切り札として、ハイテクを用いた企業の食品への依存度を増やしており、その産物が広がっているのです。
そのことは私たちの健康に直結します。私たちの体にとって特に大事な存在が、微生物です。例えば腸内細菌が免疫系の要になっていることが、細菌の重要性を示しています。腸内細菌叢(腸内フローラ)と土壌微生物の共通性もまた、人間もまた自然の産物であることを示しています。人工的な食品の多くが、その腸内細菌を育てることができません。
いま政府が進める食料生産での構造転換の柱は、企業化、工場生産化、ハイテク化です。自然と切り離された不自然な食べものが増え、日常化していくことは、それを食べ続けていった消費者の間で健康被害が広がることを意味します。私たちは、どのようなものを食べるか、あるいは食べないか、という選択権を1日3回も持っています。ぜひその選択権を行使して、これまで私たちの食を守ってきた家族経営の農家や漁師、そしてそれらを原料に加工するまじめな食品産業を支えていきたいものです。そのためにも関西よつ葉連絡会を支え、盛り上げていってください。
今回で、本連載は終了します。長い間、このコーナーを読んでいただいた皆様に心より感謝します。
