2023年10月号(150号)-1
水産生産者意見交換会
これまでの信頼関係を基盤にして
魚が以前のように捕れなくなっている。漁獲量が減っているだけでなく、揚がる時期が変わってきていたり、今まで捕れていた魚が揚がらなくなり、逆に揚がらなかった魚が揚がるようになったという話をよく耳にするようになりました。原因としては乱獲や気候変動・地球温暖化による海水温上昇などが言われています。そのような状況を踏まえ、久しぶりによつ葉の水産生産者が集い、意見交換会を開催しました。各地の生産者の現状報告から始まり、よつ葉の商品企画、水産生産地間の情報共有や養殖についてなど、多様な意見も聞くことができ、有意義な時間になりました。
ともに柔軟な発想と行動を!
ひこばえ 福井 浩
8月26日、北は北海道から南は九州まで、よつ葉に魚を届けてもらっている生産者20社(リモート参加を含む)に集まっていただき、意見交換の場を持ちました。ここ数年、「魚が捕れない。量が激減した」「捕れる時期がずれる」「今まで捕れなかった魚種が捕れる」等々、全国の生産者から悲鳴のような声が相次いで届いています。そんな皆さんのナマの声を聞き、よつ葉として少しでもできることを話し合うことが、今回の集まりの目的でした。
よつ葉はこれまで各地の漁港で捕れた魚(前浜の魚)を各地の生産者から直接届けてもらうことに重きを置いてきました。それは各地域で頑張っている水産生産者とよつ葉がつながることで、少しでも地域の活性化を応援したいと考えたこと。そして何よりも、顔の見える生産者から直接届けてもらうことこそが、「新鮮で」「おいしくて」「安心できる」からでした。
そのようなよつ葉が培ってきた水産生産者との信頼関係やネットワークは、これからも大切な財産です。そこから互いの情報交換や協力を強めること、養殖のことも視野に入れることなど、よつ葉も生産者も少し柔軟に発想して行動していくことを確認しました。
コーディネーターの大阪府立環境農林水産総合研究所・日下部先生からのコメントにあったように、大きな環境変化に対しては、基本的に人間の側がそれに対応していくしかありません。捕れる魚を海の恵みとして大切にして、よりおいしくて豊かな魚食文化を、全国の生産者の皆さんと提案し、提供していきたいと思います。
事業者間連携の道しるべ
丸友しまか 島香 友一
水産事業者が集まって会議をする。いつ以来になるだろうか。「初めまして」の方や「ご無沙汰しております」の方など、顔を合わすことができて嬉しかったです。
水産事業者が直面する問題は、産地は違えど同じ。どこの産地も「今まで捕れていたものが捕れなくなった」、「今まで捕れなかった魚種が捕れ始めた」など、同じような状況。また一昔前と違い、仕入原価も高騰しています。各事業者が同じように知恵を絞りながら、仕入産地を前浜以外の近隣まで拡大し、何とか確保しようと取り組んでいます。
こうした状況のなかで、今回集まることができたメンバー間での「情報共有(水揚げ状況や相場など)」の案は有効活用できそうかなと。コストの問題はありますが、情報共有されることで、原料の共有などが行えるようになれば、水産事業者間で連携し、より幅の広い商品ができるようになるのではないかと期待しています。なかには個々の事業者間で工場見学もするような話もあったようです。
1社では対応できない状況に、このような場を設けていただき、「事業者間連携」が構築できる環境への道しるべがつくれたことに、感謝しています。今後、この連携を活かした商品が出てくることを期待したいです。
素晴らしい生産者が集まっている
タイム缶詰 吉田 和生
茨木市のよつ葉ビルで開催された「水産生産者意見交換会」に初めて参加させていただきました。多くの水産生産者が抱えている問題はやはり、原料となる魚が減ってしまったこと、時期が変化していること、もちろん価格も高騰しているなどで、そのなかでも各生産者は未利用魚と呼ばれる今まで使ってこなかった魚にチャレンジしたりと工夫をしています。
また産地間でいろいろな情報共有をしようと、関西よつ葉連絡会も加わった「LINE」での原料と欲しい商品の情報交換などのグループ設置が提案され今後、関西よつ葉連絡会と産地が一緒になって、会員さんが期待する商品をつくりあげていこうと盛り上がりました。特に日本で今注目されている養殖については、産地と流通だけではなく、食べる人が何を関西よつ葉連絡会に求めているのか? 深堀してもらってさらに議論を行っていきたいと思います。
関西よつ葉連絡会には食の安全性や海の環境のことを考えている、本当に素晴らしい生産者が集まっています。そして産地のことをとても大切に考えてくれる団体だと思います。変化が大きい時代ですが、食べる人を含め、手を取り合って進んでいきましょう。