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よつ葉ホームデリバリー

2023年10月号(150号)-2

 

 

食べものは配らない。世界の飢餓を“終わらせる”ために
地域の食を担う住民の組織化と自立を支援

 

田中梨佳(認定NPO法人ハンガー・フリー・ワールド)

先週のカタログ(420号)と一緒に配布させていただいた封筒はハンガー・フリー・ワールドと
関西よつ葉連絡会からの「“ともに生きる”アクション」のお願いです!! 
書損じハガキで、飢餓に苦しむ人々の自立を応援!
国際協力NGOハンガー・フリー・ワールドは毎年、
書損じハガキなどの回収を全国に呼び掛けて信頼できる金融機関や金券ショップで換金し、
皆さまからの寄付金として、飢餓を解決する活動に役立てています。
SDGs目標「飢餓をゼロに」の達成に向けて、皆さまのご参加をお願いいたします。

食料生産は増えているのに飢餓人口が急増

食べることは誰もが持つ生存に関わる基本的な権利です。しかし残念ながら多くの人がその「食料への権利」を奪われています。

世界の穀物生産は毎年28 億トン以上で、年々増加する傾向です。今、世界ではすべての人が十分に食べられるだけの食料は生産されていると言われていますが、約7 億3500 万人、11人に1 人が慢性的な栄養不足です。2019 年と比べて1 億人以上がコロナ禍のなかで増加しています。地域別に見ると、人数ではアジアが最大4 億3100 万人と一番多く、人口に占める割合ではアフリカが最大で20.5%と深刻です。〈国連食糧農業機関(FAO)、2023 年〉

なぜ、食料が足りているのに、飢餓人口は増えているのでしょうか?

極度の貧困のなかで生きる人の約8割が農村部に暮らし、農業で生計を立てています。しかし商品作物のみをつくっている場合、自分たちが食べるものは買う必要があり、食料価格の変化に食生活が左右されてしまいます。今、ウクライナ・ロシアでの戦争により貿易が滞り、食料の国際価格の高騰が続いています。気候変動と新型コロナウイルス感染症により、すでに上昇していた食料価格のさらなる高騰は、支出における食費の割合が元々高い家計の人々の生活に重くのしかかっています。

増え続ける飢餓人口、そして食料に関わる課題の深刻化と、次々と出現する新たな脅威に、食料援助だけで対応するには限界があります。人々が飢えから脱却し、援助がなくても再び飢えることがないようにしなければなりません。大規模生産よりも非効率であっても、多様な食料がつくられ、流通している強靭(きょうじん)なフードシステムを持つ地域づくりが大切です。

 

自分たちが食べるものをつくり、保存、流通させる地域へ

ハンガー ・ フリー ・ ワールド(以下、は、アフリカとアジアの農村地域で活動しています。飢えに直面する人々自身を力づけ、地域のよりよい食を築き、守ることができる住民組織を育てます。そして相互扶助と自治体との連携によって、支援を受けなくても取り組みが継続できるようになるまで能力を強化すると、その地域での支援を終えます。

例えば西アフリカ・ブルキナファソのクブリ郡では、2021 年に16 年間の支援を終えました。2005 年、まず最初に自治体が放棄していた保健センターを修復し、栄養不良児とその母親を集めて栄養改善事業を始めました。母親たちに離乳食や栄養についての知識を伝え、換金作物ではなく家族が食べるための野菜を育てるよう、資材や研修を提供しました。翌年から母親たちをグループにして、収穫した野菜を使った学校給食と市場でのビジネスの開始を支援。子どもたちの学力も向上し、進級テストの合格率は給食開始5年で40% から100%になりました。

その後もHFW は元支援対象者を中心とした女性グループが、地域の女性たちを巻き込んで、食品の生産から流通、食育の事業を自主運営できるよう支援。行政と協同する能力を高める支援もしました。2018 年には貧困世帯のための国営食料備蓄庫の不適切な利用について、改善を求める住民運動を支援。郡行政に住民が積極的に参画して運営する仕組みを整備しました。コロナ禍での食料不足の際には、クブリ郡では備蓄庫が適切に使われ、地域住民たちの危機を救いました。

女性グループは徐々にクブリ郡の食の課題に取り組む力を付け、組合化を達成。2018 年には保健センター、2021 年には学校給食が女性組合と行政により完全に自主運営されました。それらを見届け、2021 年末にHFWは支援を終了しました。

 

日本でも活動しています

世界の飢餓は私たちの生活が深く関係しています。日本は約6割の食料を海外からの輸入に頼っている一方、食べ残しや賞味期限切れなど、まだ食べられるはずの食料を年間523 万トンも捨てています。〈農林水産省、2023 年〉

HFW は日本の人々に世界の飢餓の原因を生み出さず、解決につながる行動を起こすよう呼びかけています。食品ロスを減らす、環境破壊に加担しない、少し高くても国産やフェアトレード商品を選び、持続可能な生産を応援するなど、できることはたくさんあります。

HFW は国連機関、NGO/NPO、行政、企業、組合、大学などが力を合わせて、10 月16 日の世界食料デーを盛り上げる「世界食料デー」月間の事務局も担っています。

 

書損じハガキキャンペーンに

HFW は、書損じハガキや切手などを集めて換金し、皆さまからの寄付金として活動に役立てています。この度、関西よつ葉連絡会にご協力をいただき、先週、専用封筒を配布させていただきました。お家にあるハガキなどを封筒に入れて郵便ポストにご投函ください。他にもイベントやボランティア、ご寄付など、HFW にはさまざまなご参加方法があります。ご参加、ご協力をお願い致します。

 

 

 

■認定NPO法人 ハンガー・フリー・ワールド(HFW)■

飢餓に苦しむ人々の「食べる」を取り巻く環境を変えていき、「生きる力」を育むことで、世界の「明日」へとつなげていく国際協力NPOです。1984年に米国NGO本部として独立し、NPO法人を取得。2023年に認定NPO法人を取得しました。バングラデシュ・ブルキナファソ・ベナン・ウガンダに支部を持ちます。