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よつ葉ホームデリバリー

2023年11月号(151号)-1


原発事故12年目の福島訪問
活動を継続することが継承になる

 

 10月14、15日によつ葉の職員、7人で福島県を訪れました。原発事故から12年。福島では帰還困難区域の一部も特定復興再生拠点として避難指示が解除されました。一方で、岸田政権は福島原発の事故など忘れたかのように、老朽原発の再稼働、60年超運転など原発の積極的活用へと政策を転換しています。今回は汚染処理水放出、放射能汚染の実際、避難指示解除状況、中間貯蔵施設などの問題について、現在福島で活動している方々を巡って、お話を聞きました。参加者からの感想です。

 

 

よつばの保養キャンプはまだまだ続きます

よつば関西保養キャンプ実行委員会/淀川産直 田野浩幸

 

 福島第一原発事故の後、よつ葉では能勢農場をベースにした小学生対象の保養キャンプを開催しています。事故から12年たち、保養の意義について、福島の実情を知るべきだと思い、福島訪問に同行しました。
復興と名がつけば簡単に予算がつき、きれいな建物が建つ一方で、すぐ近くの帰還困難区域では朽ちていく家が取り残され、除染の作業すらできない区域がまだまだ残されています。また年間被ばく量が20ミリシーベルトの地域でも帰還を促進しています。原発敷地内の作業員でも白血病の労災認定がされたこともある線量なのに、です。
今回の訪問で「いわき放射能市民測定室たらちね」の活動が特に印象的でした。市民活動から生まれた認定NPO法人で、事故後から甲状腺検診や放射能測定などを無料で続けられており、沖縄での保養の取り組みや不安を抱える親の相談場所にもなっています。時間の経過とともに、保養に参加することを隠そうとする傾向もあるそうですが、お話しいただいた田中さんいわく、「子どもの尿からセシウムが当然のように検出されるのは変わらない」と。
さまざまな場所を訪れ、お話を聞き、福島の現状を肌で感じた今、よつ葉関西保養キャンプを通して、子どものときにしかできないことを思い切りできる場所を提供する。よつ葉の保養はまだまだ続きます。

 

 

 

誰も予想がつかない健康被害

研修部会世話人/奈良産直 松元信一

 

 今回の目的は原発汚染処理水問題や復興状況をニュースなどで伝えられていることが本当に正しいのか、実際に現地で確認したいと思い参加しました。
ニュースなどでは「原発汚染処理水はアルプスという機械に通し、取り除けないトリチウムを薄めて排水するので安心です。また世界中の他の原発でもすでに排水しているので大丈夫です」と言っていたので私もそれを信用して風評被害にならないようにと思っていました。
ただ現地の放射能に詳しい方に伺うと、①今回福島第一原発から排水するのは解け落ちた燃料デブリに触れた水で、他の原発の核廃棄物を冷やしているプールの外側を冷やしている水とは全く違う②それだけ高濃度の汚染水を、果たしてどこまで除去できているのか信用できない③トリチウムが出すガンマ線は飛距離が短いが、食べものを通して万一体内に入ると被曝の影響が強くなると聞きました。これから日本は前代未聞で誰も予想がつかないことを犯そうとしています。
今回訪れた双葉町や大熊町、飯舘村はまだまだ放射線量の数値が高い所もありますが、復興をアピールするため次々に帰還困難区域を解除していっています。「昔みたいにお金はなくても豊かな自然の恵みを感じる生活に戻りたい」と言われていたのがとても心に刺さりました。

 

 

 

よつ葉の研修に合流して

ロシナンテ社   四方 哲

 

 『月刊 むすぶ』という雑誌をつくっているロシナンテ社の四方です。福島には取材で毎月のように通っています。今回、関西よつ葉連絡会の皆さんと福島の被災地を巡る機会をいただき、職員研修に潜り込みました。
双葉町にある東日本大震災・原子力災害伝承館で合流、その後、小名浜の「いわき放射能市民測定室たらちね」を訪ねました。説明をしてくれるスタッフに現状や測定の様子を細かく質問するよつ葉職員の視点に感心させられました。食を通じて生産者と消費者をつなぐことをなりわいにしているだけあって、そのなかでつくられる意識の高さを感じられました。さすがよつ葉! ですね。
原発事故から12年余り「福島の被災地の本当の様子を知りたい」、その思いを実現したのがこの研修なのです。食の安全・安心を考える際、私たちは現場を知ることが大切です。有機農家の日々の農作業の様子やそのご苦労はどんなものなのか。それを直接、知ることで見えてくるものがあります。お互いの関係性はお金を媒介にしたものだけではないのです。
よつ葉牛乳の共同購入会として始まった連絡会は、生産者と消費者との共同の場を大阪という地域のなかでつくりあげようとしています。その思いが一人ひとりの働き手のなかに息づいているのです。ロシナンテ社

ロシナンテ社

 測定機の説明をするたらちねの田中さん

測定機の説明をするたらちねの田中さん

 
福島現地訪問・交流日程

10月14日(土):東日本大震災・原子力災害伝承館⇒いわき放射能市民測定室たらちね⇒柳井孝之

さん(小名浜機船底曳網漁業協同組合専務理事)⇒原子力災害考証館

10月15日(日):門馬好春さん(30年中間貯蔵施設地権者会会長)⇒木幡ますみさん(大熊町議会

議員)⇒伊藤延吉さん(飯館村在住)

 

 

原発事故12年目の福島訪問
活動を継続することが継承になる

よつば関西保養キャンプ実行委員長/淀川産直 田野 浩幸
研修部会世話人/奈良産直 松元信一
ロシナンテ社 四方 哲