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よつ葉ホームデリバリー

2024年9月号(161号)-2

 

 

自力営業に方向転換

 

■フラノフィールド(北海道中富良野)■
2021年4月に法人化。前身は相内農園。玉ねぎ、じゃが芋、人参、スイートコーンなど富良野の広大な自然のなかで無農薬・無化学肥料で育てるところから、野菜の特長を生かした加工品の製造も営んでいる。

 

職員の皆さん(前列右端が相内さん)

 

 フラノフィールドの前身である「相内農園」は今から約30年前、北海道芽室町で開業いたしました。農業を志したきっかけは息子のアトピー性皮膚炎であり、原因は食にあると分かった主人は有機栽培で無農薬・無化学肥料を絶対条件としました。当時は新規就農、特に有機栽培ともなるととても珍しい時代で、受け入れは皆無の状態で私たちには厳しい環境でした。
平成18年に有機栽培推進法が始まり、今では有機農業者も優遇されるようになりましたが、当時は何もなく自力で行うしかありませんでした。まず一般的に新規就農者が考えるように農協へ打診をしましたが、「新規就農は要らない。組合員になりたいのなら300万積んでくれ。」新規就農者に300万は無理というもの。ましてや新規就農は要らないと相手にされず(これが逆に良かった!)、自力で営業をしていくことに方向転換し、栽培から営業、発送まですべてをこなす形を築き上げてきました。
十勝の芽室町から富良野、富良野から現在の中富良野町へと引っ越しを2回へて、現在全圃場28町完全無農薬・無化学肥料、有機JAS取得圃場となっています。2021年2月に法人化し「株式会社フラノフィールド」設立。開業当時小学1年生だった息子が代表を担い規模拡大の最中です。
北海道の栽培は年一回、当然冬の収入はありません。冬の収入を確保するため、でも一番は皆さまに自社の農産物を年中食してもらいたい。「食は健康の源!」少しでも多くの方に身体にいい野菜を提供したく加工食品にも取り組んでおります。これからは同じような志を持った農業者を育て共に歩んでいけるような体制づくりを考えていこうと思っております。           

(相内富江)


 

 

 

 

暑さ対策がこれからの課題

 

(北海道札幌市)■

 

札幌を拠点に生産者と消費者をつなげる活動をし、自らも野菜の栽培を行っている。よつ葉にも大根、かぼちゃ、ブロッコリー、トマト、玉ねぎ、じゃが芋、人参など季節に応じた野菜を届けてもらっている。

 

山内さん(オフィス・アンの店)

 

 

 会員の皆さま、いつも北海道アンの会の野菜を食べていただきありがとうございます。当会では有機栽培や特別栽培(*注)を実践されている生産者を中心に野菜を取り扱っています。安心・安全に配慮した栽培方法だからこそ食べておいしい野菜をお届けしたいと考えています。そのため生産者への訪問を大切にしています。
北海道は地区によって気候や土壌条件が全く違いますので栽培方法はそれぞれ工夫されています。近年、よく話題になるのは気温のことです。最近の北海道は猛暑が続き湿度も高くなりました。私が20年前に移住したときの平均気温と昨年の平均気温の差は約5℃もありました。個人宅には珍しかったクーラーも最近では当たり前のようになっています。道産子(どさんこ=北海道生まれの人)も暑さにはなかなか慣れず苦労していますが、野菜も同じようです。おいしい野菜を栽培するために種撒き時期を変えたり、暑さ対策をしたりと各農家さんが工夫を凝らしています。
品種は冷涼な地域での栽培に適しているものから本州のような気候に適しているものへ変更する農家もいます。それもひとえにおいしい野菜をつくりたいという思いからです。暑さ対策が北海道農業のこれからの課題となりますが、旬のおいしい野菜をお届けするために生産者と協力していきたいと思います。これからも北海道アンの会の野菜をよろしくお願いします。        

(山内一久)
(*注)農作物の節減対象農薬や化学肥料の窒素成分が慣行農業レベルの5割以下の農業

   

 

 

 

 

ときどき、一筆

 

なんとよつ葉の会員でした…

アグロス胡麻郷   橋本 昭

 

 アグロス胡麻郷は任意団体の時代から数えるとはや、30有余年となる。見上げないと見えないコンバインの登場、あるいはドローンの飛来へと農業は変化した。小輩の胡麻での就農からほぼ50年さまざまな人がこの土地を訪れ、また去っていかれた。お恥ずかしい話や忸怩(じくじ)たる思いもいろいろある、いや満載である。しかし、お陰さまでというべきでありますが、現在もそれなりに関わってもらえる人々に支えられてわが胡麻地域の農地の一部を耕作しています。
 

最近、同道の若い人が「法人」でやるなかで、最低賃金あるいは労基法遵守とすると作業効率が強く問われることになり、「工業流」のシステム化される「労働」はさておき、生命あるものを対象とする「農業労働」は労働基準法で縛ろうとすると春夏秋冬・朝夕・雨天晴天など、なかなか難しいと小輩には思われます。そんななか、「就労継続支援A型作業所、サンライズ」を2024年4月1日に立ち上げました。多様な担い手と共に農業(特に地産地消)を支える試みとアグロスの現状とを鑑みての試みです。今回はその人手不足の時代に神様の思し召しのように非常に短期間に思いも一致して、という不思議な出会いに恵まれました。最初は1年くらい前からの話ではあったのですが、もちろん段取り違い含めて大変ではあるのですが、「障害って何?」という問いを立てることになり、では「いかなるものを目指す?」という問いにさらされる機会になりました。
 

「何を目指すか?」というところでの一致は「農業…当然安全安心の」に関わりたい、「地域コミュニティ」と関わりたいなど、かつ仕事として給料をもらいながら活動として働き、コミュニティに働きかけられるとか、それはいろいろな思いが語られたのではありますが、スッキリした共通点は偶然にも「よつ葉の会員」であったことです。「これが」といった確信に満ちたものというより、「Life」の何買ってる? 「アレ、ああウチも一緒…、買うてるわ」といった商品の一致などという感覚的な一致。そして、そんなモンどうしが一緒に仕事していく。アグロスの地湧舎(直営農場)は暑くて大変ですがこんな話もイマドキ、少々贅沢かもしれませんね。あっちこっちでこんな話が起こると楽しいですね。

 

 

サンライズのメンバーと玉葱の収穫