2024年1月号(153号)-1
2024年の活動と今後の課題
この時代に私たちはどう生きるのか
2019年春・よつ葉交流会
明けましておめでとうございます。とはいえ、決してめでたいとは言えない状況が世界では起こってしまっています。昨年、10月7日の衝突をきっかけにイスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への非人道的な報復攻撃が続いています。ウクライナ侵攻を含む、現在の紛争は歴史的な暴力の連鎖によるものです。歴史の蓄積というものの重みを改めて突きつけられたようにも思います。人新世という現在を表す言葉がありますが、歴史や時代の転換とどう向き合い、そこでどのような関係性を築いていけるかが問われているようにも思います。
多様な人と尊重し合える関係を目指して
関西よつ葉連絡会代表 横井隆之
今期から関西よつ葉連絡会の代表を引き受けることになりました。よつ葉で働き始めてちょうど30年になります。配送現場で15年、配送スタッフ時代には添加物をはじめとした、食にまつわることを会員さんに教えていただき、その後は「よつば農産」で、農業の厳しさや地域農業のことなどを農家さんに教えていただきました。そうした皆さんとの関わりや、よつ葉の交流会や職員研修などでお世話になった産地・生産者との出会いが、食や社会について何も知らなかった、私の人としての大きな土台となっています。
1976年、当時の有機農業運動や食品公害追放の消費者運動の高まりのなかで、よつ葉が活動を始めておよそ50年になりますが、ここ数年で世代交代が進んでいます。私が連絡会代表になったのもその一つで、私とそしてより若い世代が事業と活動の中心を担うときが来たのだと身の引き締まる想いです。
世代交代は全国の産地・生産者においても親世代から子の世代へと引継ぎつつあります。また会員さんも同じように親から子の世代へとつないでいっています。これまでの50年をこれからの50年へとつなげるために、次世代同士の関係づくりが重要になります。お互いに交流できる機会をつくり、より関係を深めていきたいと思います。
人類に対する地球からの警告
そんな転換期のなか、生産者、消費者、そしてよつ葉の職員の三者が一堂に会して、これからの50年へとつなげる「よつ葉の交流会」を、今年の3月23日(土)と24日(日)の2日間にわたり、京都で開催することになりました。(右下写真・チラシ参照)大規模なよつ葉交流会は2019年の春以降となりますので、皆さんにお会いできるのが本当に楽しみです。
23日(土)は基調講演会・特別対談として、農業史研究者の藤原辰史さんとよつ葉ともつながりの深い文化人類学者の松嶋健さんのお二人をパネラーとしてお招きし、「気候変動、パンデミック、戦争…この時代に私たちはどう生きるのか?」と題して話をしていただきます。(4面「INFORMATION」欄参照)
私たちの暮らしを一変させ、多くを制限させてきた新型コロナウイルスによるパンデミックは、自然界からの警告として社会のありようを考えさせられました。ロシアのウクライナ侵攻ではその戦禍の大きさに衝撃を受けましたが、世界大戦を思い起こさせる戦争へと発展しました。そんなウクライナ侵攻も終息しないうちに今度はハマスとの戦闘をきっかけとしてイスラエルからパレスチナ自治区に向けての残虐な攻撃が続いています。
また世界各地でも大きな地震が発生しており、日本各地でも猛暑や大雨による被害が頻発、特に一次産業の現場では厳しい状況が続いています。地球規模で資源を大量消費し、自然破壊を繰り返してきた人類に対する地球からの警告のようにも思われます。そうした地球規模での大きな問題に対して、私たちはこれから何をどう考え生きていけばいいのか? 皆さんと一緒に考える機会にしたいと思っています。
24日(日)は生産者と会員の皆さんが直接交流する試食即売会「よつ葉マルシェSpecial」です。生産者は自慢の農作物や商品を持参して試食販売を行いますので、商品の評価など、会員さんから直接聞くことができる貴重な機会となります。また会員の皆さんにとってはカタログで紹介されている生産者に直接会える機会になりますので、ぜひ生産者の人となりを確かめてほしいと思います。
そして、皆さんにもう一つ報告があります。構想から10年、ようやくよつ葉の新センターが亀岡市篠町に完成しました。生産者や会員の皆さん、そしてよつ葉に関わるさまざまな人の協力がなければ成し得ませんでした。本当にありがとうございます。
新センターでは今まで別々だった企画・流通・システムの各社が一緒の場で働くことになります。職域を越えてこれまで以上に協力体制を強化できるので、職員同士の関係が深まるだけでなく、職員それぞれの活躍の場も広がると考えています。
最後に今期から関西よつ葉連絡会は、新体制でのスタートとなります。代表を務めてきた先輩方が大切にし、つないできた基本的な理念をこれまでと同様に引き継いでいきます。多様な人との関係を大切にし、お互いに尊重し合える関係を目指す、皆さんと自然体でお付き合いができる、よつ葉でありたいと思っています。これからもどうぞよろしくお願い致します。
この時代に私たちはどう生きるのか
横井隆之