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よつ葉ホームデリバリー

2024年6月号(158号)-4

 

 

はたあきひろさん講演会

「菜園力で暮らしが変わる

       -自然から学ぶ心地よい暮らし」

 

高槻生協組合員

福田和子(楽農クラブ)

 

楽農クラブ(島本町)は2010年12月発足。島本町桜井地区で農家さんの協力を得て、野菜づくり勉強会、親子農体験などの住民対象の体験農園を開いてきました。コンセプトは「地産地消・自産自消・地球に優しいエコライフ」。桜井地区の宅地化で2020年より活動場所は主に同町高浜地区に移動、現在は6カ所の体験農園・市民農園の運営に携わっています。
 農地はいろいろなことを教えてくれます。命を閉じ込めた種の神秘、蒔いて芽が出たときのかわいさ、春・夏・秋の命のリレー、眠りの冬。そして季節の移ろいの美しさや恵みだけでなく、強風や日照り、異常気象と地球環境の厳しさも実感させます。
 今年は中断していた講演会や学習活動を再開します。見出しで紹介の講演会、講師はNHK総合テレビ「ぐるっと関西お昼前」に毎月出演中のはたあきひろさん(本紙5月号参照)。はたさんはニュータウン暮らしで23年間会社勤めをしながら、300坪の農地を借りて自給自足の米・野菜づくりをされてきました。害虫や雑草とうまく付き合う菜園づくり、それは単に自給自足を目指すだけでなく自然との共生や精神的な豊かさにもつながっていると思います。農家出身ではないはたさんがなぜサラリーマンをしながら自給自足の米・野菜づくりを始められたのか、また現在「庭暮らし研究所」をつくり“人と自然の橋渡し”をライフワークに活動されている思いや菜園暮らしのうれしい発見などをお話ししていただきます。栽培の技術的なことから農とともにある暮らし方まで、身近なお話が満載だと思います。

 

主 催:島本町農業振興団体協議会、楽農クラブ
日 時:7月28日(日)14時~16時
場 所:島本町ふれあいセンター3階第4学習室
講 師:はたあきひろさん(庭暮らし研究所代表)
参加費:無料(申込要・先着80名)
申込先:福田☏075―962―7185

 

 

 

 

「未経験集団」が巻き起こす風③

 

里山技塾 伊藤雄大

 

 

 

里山技塾では卒業生たちの農地のあっせんもしています。ところが、栗は他の果樹とは違い、放任して大木化しても自然に落果し、ある程度の収穫ができるため、農地が流動化しにくい。われわれの力不足でもあるのですが、ともかく卒業生たちは栗が1本も残っていない荒れた山からスタートすることが大半です。
 なかでも最も過酷に思えたのが、卒業生が開園した「大里栗園」です。もともとはクヌギ林だったのですが、50aすべてが山にのまれ、2m以上の笹が隙間なく生い茂る荒れ山になっていました。困った地権者が太陽光パネルを設置しようかと迷っていたところを聞きつけ、里山技塾で志願者を募ることにしました。
 志願した4人は全員が農業未経験者で、うち3人が町外在住者(もう1人は塾をきっかけに移住)で、従来の仕事との兼業です。農家なら誰もが持っている軽トラも、草刈り機すら持っていませんでした。「早くて2年かな」と思っていたのですが、ものすごい馬力で開拓が進み、半年後には膨大な量の笹が処分され、防獣柵の設置も完了。復帰2年目の現在は栗の苗木と、立派な台場クヌギが同居する、能勢町独自の里山に生まれ変わりつつあります。地元の人も「この山が明るくなって、散歩するのが気持ちいい」と言っていました。大里栗園のみならず、このような兼業農家の事例が町内に点在しています。
 開塾当初の予想に反して、卒業後の定着率は農業未経験者の方が圧倒的に多いです。卒業生の園を訪ねるたび「耕作放棄地は真っ白なキャンバスだ!」と心の底からワクワクした就農当時の気持ちを思い返して、私自身も心に火がつきます。この春には卒業生を中心とした栗研究会が立ち上がったり、町内産栗苗木の生産も始まったりと、伝統の能勢栗に「未経験者集団」が巻き起こす風が吹き始めたところです。 

(終わり)

 

 

 

編集委員からの一言

 

 

 関西よつ葉連絡会と関連した団体に「地域・アソシエーション研究所」というところがあります。そこで新たに「〈男らしさ〉を考える研究会」というのを始めました。社会状況として関心を集める話題だったこともあって、10人ものメンバーが集まりました。毎月集まり指定した本を各自読んで感想やそれにまつわる体験談、意見交換をします。
1回目は3/4の時間を自己紹介に費やしました。それぞれ参加した理由、参加することで期待していることなどを話しました。参加者の多くが育ってきた家族の話などの経歴に触れていたのはジェンダー意識というものが家庭や社会による影響が大きいということを物語っています。
〈男らしさ〉やジェンダーを学ぶのは対立的な構造から脱するためのものであって、個人がどのようにその壁を超えていけるかにかかっていると思っています。そのためには社会的、個人的な背景について、お互いに知ることから始まるのだと思います。背景のせいにするのではなく、そこからどのように変わっていったらいいのか、自分自身に還元していくことが大事だと思っています。

 

(編集部 矢板 進)