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よつ葉ホームデリバリー

2024年12月号(164号)-1

 

2025年の活動と今後の課題

 

誰もが安心して暮らせる社会を目指す

 

 

 あけましておめでとうございます。とはいえ、ちょうど一年前には能登半島の大震災が起こり、帰省で親族が集まる和やかな時間が一変しました。あれから一年になりますが、復興は思ったより進んではいないのが現状です。また一昨年10月に起きたパレスチナでの紛争も周辺国を巻き込んで拡大し、ニュースなどでは第三次世界大戦という言葉も出てきました。気候変化やマイクロプラスチック・PFASなどの化学物質汚染も子どもたちに未来を継いでいく上で、大きな課題になっています。関西よつ葉連絡会も世代交代が進み、過渡期を迎えており、活動の在り方を見直す時期にきています。

 

 

 

2024年春の生産者交流会

 

 

「かけがえのない生命」

         という指標に立って

 

 

関西よつ葉連絡会事務局長 松原竜生

 

 

  2024年は元日の能登半島地震から始まりました。半島という地形の影響もありますが、丸一年たった現在でも倒壊した建物の解体すら遅々として進まず、生活インフラの整備が不十分な地域も残ります。地震大国にもかかわらず、諸外国と比べても被災地域への支援に過去の経験が活かされていないのが現状です。
 
関西よつ葉連絡会では二度にわたる義援金カンパを会員の皆さんにお願いし、被災した方々の支えとなるような活動を関係団体と協力して展開しました。長い道のりになることは間違いなく、被災された生産者を対象とした従来の支援活動だけでなく、より広く被災地域の人たちに届くような活動にも力を入れていきます。(4面に関連記事)

 

 

生産者と会員の皆さんをつなぐ

 


明るい出来事もありました。1月から念願の新物流センターが稼働し、同じ建屋内に企画やシステムを担う部門も合流しました。稼働1年を経た現在、未だそのポテンシャルを十分に活かせるところまでは達していませんが、生産者と会員の皆さんをつなぐ心臓部として、「食」の未来を切り開いていけるような物流の在り方を目指します。
 
また、3月には久しぶりに「全国生産者交流会」を開催することができました。コロナ禍の影響で5年振りという背景もありますが、これまで開催したなかで最もたくさんの「良かったよ~」のお声をいただいたように感じています。生産者の皆さんも会員の皆さんも、そして私たち自身も世代交代が進んできている現在、先輩たちが築いてきた関係をより良いものに発展させ、「食」の事業を通して誰もが安心して暮らせる社会の実現を目指すパートナーとして、結束を深めるひとつの機会になったと思っています。
 
一方、社会の状況がハイスピードで変化していくなかで、私たちにも差し迫った課題が突きつけられていることを感じた1年でもありました。物流業界の「2024年問題」といえば、基本的に長距離トラックのドライバー関連であり、自分たちへの影響は限定的だと思っていましたが、「よつ葉の2024年問題」も起こったのです。ここ数年続いてきた人員不足がさらに顕著となり、配送の現場でいえばケガや病気の欠員を補えず、遅配や一部お届けできない状況に陥るケースが出てしまいました。これまでは大地震や台風、大雪など自然災害によってしか基本的には起こらなかった事態が、ついに慢性的な人手不足に突発的な事由が合わさった人的要素により引き起こされるようになったのです。
 
思えば、よつ葉の現場(配送以外でも)は職員の「やる気」と長時間の労働に支えられてきました。よつ葉が掲げる理念や目的がその原動力となると同時に、こうした状況を正当化してきたという側面があります。しかし、現場を支えてきた世代が高齢化を迎えつつある一方で、若い世代がどんどん入ってきてくれるような状況ではありません。
 
日本社会全体が直面している問題であり私たちだけが無関係であるわけはないのですが、生産者が心を込めてつくったものを届けるという責任が果たせなくなる事態は避けなければなりません。理念や目的と一緒にそれらを実現するための安定した事業基盤を次の世代に残していけるよう、2025年は組織の在り方やシステムを大胆に見直す一歩を踏み出す年にしたいと思います。

 

 

 

豊かな自然環境を未来に手渡す

 

 

 世界では戦争が続き、超富裕層が存在する一方で飢えや貧困に苦しむ人は増え続け、急激な気候変化や多種多様な化学物質は人間を含む全生物の生存基盤を脅かしています。自分たちの在り方を反省せず、それらの問題を新しい技術で解決できるかのように装い、さらなる「お金儲け」のタネにしようとさえ人間はしています。その最悪のものとして、ガザやウクライナでドローンやAI技術が、人が直接手を下す必要のない自動殺人装置として活用されていることに戦慄を覚えざるを得ません。
 
私たちの拠って立つところは「生命はかけがえのないもの」ということ、そして「人も自然の一部」という厳然たる真実です。生きていくために欠かせないのは空気であり、水であり、大地です。「食べもの」もそれらがなければ得ることはできません。豊かな自然環境を未来の世代に良いかたちで手渡すために私たちは活動を広げていきます。それがこれから私たちに課せられた最も重要な使命で、全ての活動における道標だと意気込んでいます。皆さん、2025年もよろしくお願いします!

 

 

 

亀岡センター、各社が集まって集合写真

 

2025年の活動と今後の課題
誰もが安心して暮らせる社会を目指す