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よつ葉ホームデリバリー

2025年11月号(175号)-2

 

 

地域のご縁と愛と力

 

 

■とりもと(岩手県宮古市)

就労継続支援A型の事業所で、岩手の食材の旨みを生かした無添加食品づくりに取り組んでいる。耕作放棄地を畑にし、育てられた無農薬の野菜は、レトルトカレーの原料になっています。

 

 

 

新商品「愛がけカレー」などを売る小幡さん

 

  とりもとは障がいを持つ地域の若者たちと一緒に焼き鳥屋とレトルトカレーの製造をしてきました。障がいを持つ若者たちをより多く雇用するため、「就労継続支援A型事業所」の認可を取得しています。数年前、関東でこだわり食品を扱うスーパーの経営者の方が胃の摘出手術を受け、術後の経過は良かったのですが、「胃がなくなってしまい、食事が思うようにできず、痩せるばかり」と聞き、小さな50gほどのレトルトビーフシチューをつくりお見舞いに差し上げたところ、とても感激していただきました。
 
その後、高齢者には少量のカレーがいいというような話にもなり、一緒にあれこれと話をしながらさまざまなカレーを少量で楽しんでもらう「愛がけカレー」の商品開発が始まりました。彼の紹介で、近所のインド料理のシェフやデザイナーなどが集まり、そんなメンバーで試食・検討会を開いたりしました。食べることは生きること。このスーパーの経営者の方はそんなこともあり、今ではすっかり元気になりました。高齢でも不調のときにも、少量でも味わい深く「また食べたい」と思ってもらえた私の嬉しい体験と彼の喜びの声が今回の商品開発の原点です。
 
市場にはすでに3000種類以上のレトルトカレーが並び、一般的な容量は180g~220gほどですが、高齢者などからすれば、ちょうどいい少量タイプはほとんど存在しません。そのような方にもと開発を始めましたが、70gセットにすることで、食べ比べ・組み合わせの楽しさを味わえる家庭で楽しむ合がけカレーができました。このカレーは地域のご縁とそれぞれの愛と力を合わせてできた特別のカレーです。  

(小幡 勉)

 

 

 

 

地域の誇りを育てる

 

■まんでがん(香川県善通寺)

善通寺市の中心市街活性化を目的に1999年に設立。「まちづくり会社」として地域のさまざまな事業に取り組むなか、特産品である「讃岐もち麦ダイシモチ」の販売を通して、善通寺市の農産物を広める活動を行っている。

 

 

 

観光大使のむぎゅ~ちゃん

(ダイシモチの田んぼにて)

 

 

  まんでがんは善通寺市にある農研機構によって開発され、当市生誕の弘法大師空海にちなみ、「ダイシモチ」と名付けられたもち麦を通して、地域に根差した活動を続けています。ダイシモチは紫色を帯びた美しい穂(粒)が特徴で、食物繊維やβ—グルカンを多く含む、健康食材としても知られています。私たちはこの魅力ある作物を地域の生産者の皆さまに育てていただき、広めていくことを大切にしています。
 
ダイシモチを「讃岐もち麦ダイシモチ」としてブランド化し、栽培から加工、販売まですべてを善通寺市内で行い、県内をはじめ全国へのPRをしています。また、市内の同じ想いを持った農家さんで「讃岐もち麦ダイシモチ生産者部会」を組織し、種の保管から栽培面積・栽培方法の統一化まで一括管理し、安心・安全の品質維持に取り組んでいます。
 
まんでがんでは新しい加工商品の開発にも取り組んでおり、地域の農産物を継続的に販売し認知いただける取り組みに注力しています。さまざまな形で各世代の方たちへ地域の農産物の魅力を伝えていくことは私たちの重要な役割のひとつです。さらに、学校給食への提供や地域の小学校での播種・収穫体験から地元スーパーでの販売体験を通じ、子どもたちや多くの方々に「讃岐もち麦ダイシモチ」の魅力を知っていただく機会を設けています。「地元で育ったものを食べること」は、食の安心につながるだけでなく、地域の誇りを育てることにもつながります。「讃岐もち麦ダイシモチ」をきっかけに、人と人、農と地域がつながり合う。そんな活動を続けながら、当社はこれからも「地域とともに歩む企業」でありたいと考えています。  (内田和樹)

 

 

 

ときどき、一筆

 

 

芦浜原発反対運動のなかで

 

芦浜産直出荷組合 阪口明志

 

 

研修部会での捌き方講習

(真ん中が阪口さん)

 

 10月4日(土)よつ葉の研修部会で、よつ葉の部会メンバーと芦浜産直出荷組合による捌き方交流会がありました。よつ葉の職員も若い人が多くなり、よつ葉と芦浜産直の関係を知らない職員に改めてお話させてもらいました。祖父は原発反対運動をしながら漁協の理事をしていて一本釣り漁師、父も一本釣り漁師、自分は県外で会社員をしていて2002年に錦の町へ帰って来ました。1985年、原発建設予定地を抱えている錦漁港で、父と母は反原発のビラを撒いたり、講演会を開いたり仲間の漁師と海上デモをしたりなどの反対運動をしていました。
 
原発の反対運動で知り合いになった当時、名古屋大学の河田昌東(まさはる)先生を中心とした熊野灘グルメの会、関西よつ葉連絡会、父と母の3組の出資で1986年に芦浜産直出荷組合は誕生しました。熊野灘のきれいな海の魚を安心安全な原材料で、無添加の天日干しの干魚を出荷して原発の補償金に頼らず、地場産業の活性化を目指そうと反原発の運動を応援してくれる団体とともに頑張ってきて、芦浜産直出荷組合は今年で39年になります。他の生産者との違いは反原発を掲げて活動をしているところです。ここ数年は静かな運動になっていますが、この場所でまだ声を大にして反対運動をしている人がいるということが周りに分かってもらえたらと思っています。
 
捌き方教室はカツオと真イワシで行いました。ありがたいことに参加人数が多くて全員は捌けませんでしたが、魚に触れてもらい手順さえ分かれば魚を捌くことは難しくないと思ってもらえたと思います。刺身はキハダマグロがあったのでカツオは釜揚げなまり節、真イワシはフライにしておいしくいただきました。あとは芦浜産直の定番商品のアジ開き、さばミリン、ひじき、ちりめんと知名度を上げたかったシバエビ、マンボウの腸の一夜干しをみんなで食べました。原発の問題が片づくまでは原発反対の文言の入ったシールを貼って頑張っていきますが、芦浜原発のことをもっと今の世代の人たちに知ってもらって、芦浜産直をもっと応援してもらえたらと思います。自分は生まれ育った自然豊かな錦の町が大好きです。芦浜原発反対運動のなかでつながった人たちにつくってもらった芦浜産直出荷組合を引き継いでいき、熊野灘で獲れるおいしい海の幸を届けていきます。今後も応援よろしくお願いします。