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よつ葉ホームデリバリー

2025年12月号(176号)-2

 

 

災害に負けない農業の確立

 

 

■奥能登農園(石川県珠洲市)

2024年の能登半島地震とその後の豪雨で被災。農園に行くこともままならない状況があったなかでも、肥料や農薬に頼らない能登栗の栽培を続け、これからの果樹営農のあり方を展望する。

 

 

寺内さん一家

 

  

石川県珠洲市で栗の栽培・加工を行っている寺内といいます。私たちの栗づくりは、高齢を理由に引退された先代から事業を承継したことに始まります。その責任感から品質には徹底的にこだわっています。栗は無肥料・無農薬で栽培。収穫期には大量の栗が落ちるため、鮮度を落とさないよう、朝夕2回丁寧に収穫します。それをすぐに洗浄した後、氷温貯蔵で鮮度を保ちながらじっくりと糖度を上げるという手間を惜しまない管理がおいしさの秘密です。また、むき栗は最終的に手作業で仕上げることで、品質確認を徹底しています。秋の味覚である栗も、「皮むき」は一般のご家庭では大変な労力です。私たちはその手間を代行し、調理しやすいよう、あえてむき栗として販売しています。
 
昨年元日、能登半島地震が発生し、私たちの生活と営農は一変しました。加工場は全壊、自宅も半壊という甚大な被害を受け、現在は車庫を改装した仮の加工場で生産を続けています。震災当時は家族とはなればなれになり、倒木や道路崩落で孤立するという想像を絶する困難に直面しました。震災からまもなく2年を迎えようとしていますが、現在は日々の営農を取り戻しつつあります。しかし、今も目に見えない地盤の緩みによる土砂災害の不安を常に抱えています。
 
農家としての目標は、震災で一度は諦めかけた農業を、「災害に負けない農業の確立」という形に変えること。営農方法を抜本的に見直し、新しい果樹営農のモデルをここ珠洲から日本の未来へ広げることを目指しています。私たちの栗が皆さまの食卓においしさと安心を届け、日本の明るい未来につながることを願ってやみません。      

(寺内崇博)

 

 

 

 

絶滅危惧種を後世に残す

 

■いわてやまなし研究所(岩手県盛岡市)

長年にわたり大学で、希少種“イワテヤマナシ”の研究をしていた片山寛則さん、パートナーで同じく研究者の植松千代美さんが岩手県盛岡市へ移住し農園を立ち上げ、イワテヤマナシの栽培から加工品の開発販売を行っている。

 

 

やまなし果樹園にて

植松さん(左)と片山さん

 

 

   イワテヤマナシは岩手県など東北地方に自生する野生の梨で、かつては地域の人々の暮らしを支える果樹でしたが、栽培品種の普及により絶滅が危惧されている果物です。連れ合いの片山とともに1998年から東北地方の野生の梨を調査してきました。その結果、岩手県の北上山地に多くのヤマナシが残っていることが分かりました。
 
これらのなかにケカズナシ(ケカズ=飢饉)と呼ばれるナシがあります。お米も雑穀も穫れない飢饉の年にも実をつけ、岩手の人々の生命をつないできたヤマナシです。宮沢賢治の童話「やまなし」に登場する香りの良い梨もイワテヤマナシと考えられます。見つけた多数のヤマナシのなかにはとても香りの良いもの、酸味の強いもの、ジューシーなものなどさまざまあり、昔は地元の皆さんに利用されていました。けれども他においしい果物やお菓子が簡単に入手できるようになると、ヤマナシの木はどんどん忘れられていきました。
 
忘れられつつあるイワテヤマナシは岩手にとって大事な宝物と言えます。これを再びよみがえらせ、子どもたちの世代に残したいと考え、2024年春、岩手に移住し、栽培・普及活動を行っています。岩手の皆さんにイワテヤマナシを知ってもらいたくて移住に先行して岩手県九戸村に「イワテヤマナシ見本園」をつくりました。見本園の果実が収穫できるようになり、香り良く、酸味の強いナツナシ(ヤマナシの一種)を使ってやまなしジャムができあがりました。これまでにない、甘酸バランスのとれた、はなやかな風味のジャムに仕上がりました。世界に一つだけのやまなしジャムをお試しください。      

(植松千代美)

 

 

 

ちょっと、寄ってみ。

 

 

ペット相談承ります!

 

奈良産直会員 松本隆子

 

ジュピターを抱きかかえる

松本さんと歩行器

 

  10年ほど前、当時は富山に住んでいました。大阪の知り合いから「1歳半で捨てられた犬を保護している」と聞き、富山から大阪に行き、わが家の家族にと連れて帰りました。「ジュピター(雄)」と名付けました。とても元気よく、ぴょんぴょん飛び跳ねて散歩も喜んでしていましたが、半年後わずか2歳で後ろ足が不随となり、歩くことができなくなってとても悲しく、ふびんでなりませんでした。
 
 なんとか歩かせてあげたいと思いましたが、犬用歩行器を買うと高額なので、ものづくりが得意な夫が自作を決意。軽量化を徹底したフレーム、乗り降りのしやすさを追求したデザインなどにもこだわりました。完成した歩行器に乗せてみると最初は戸惑っていましたが、すぐ歩いてくれて毎日散歩を楽しめるようになりました。そのことが新聞・テレビ・地方広報紙に取り上げられ、県内外の愛犬家から依頼が相次ぐようになり、猫の歩行器をつくることになったりと、休日を車椅子づくりに費やすほど、忙しい日々を送っていました。
 
 ジュピターは今年16歳(人間だと93歳)になり目も見えなくなりましたが、手となり、足となり、マッサージをしてさすってあげたりしてストレスもなく大きな病気もせず、暮らしています。食べものにも気をつけて、よつ葉の化学肥料不使用の餌や大豆食品、塩分にも気をつけ、野菜もスープも大好きです。動物病院の先生から、「こういう犬は短命ですよ」と言われておりましたが、ここまで一緒に過ごせてこれているのも食べもの、水にも気をつけているからかな、とも思っております。
 
 車椅子はもうつくれなくなりましたが、少しでも困っておられる方にこれまで経験してきたことで、ペットが障害を持つ前に少しでもアドバイスできたらと思っています。犬も猫も短い生命。介護も大変ですが、苦しむことなく生命を全うしてくれたらいいかな、と一緒の時間を楽しんでおります。

 

ご相談は☎ 090-2045-0674まで