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よつ葉ホームデリバリー

2024年2月号(166号)-1

 

お米の価格の見直しについて

 

米騒動の背景と農家の現状

 

 

 昨年の食に関する一番のトピックといえば、市場でのお米の品薄状況、いわゆる令和の米騒動ではないでしょうか。きっかけは8月に起きた日向灘の地震で、その後、南海トラフ地震臨時情報が発令されました。結局、大地震は起こらなかったのですが、その情報を機に市場ではしばらくお米の姿を見ることができない日々が続きました。さまざまな要因がそこにはありますが、情報を耳にして買い漁るような資本や消費行動があったことも事実です。今号は1面で今後のよつ葉のお米の取り扱いについて、3面では米騒動が起こった背景について掲載しています。

 

 

別院協同農場の田んぼ

 

 

農家の意欲と継続の力に

       つながるように

         

よつば農産 横井隆之

 

 

  よつ葉では年間に必要な量と価格を、田植えまでにお付き合いのある産地・生産者と相談して決めています。2023年産のように不作の年もありましたが、それも見越した在庫を確保しているということもあり、これまで不足になることはありませんでした。ところが昨年8月、想像をはるかに超えるほどの米騒動に見舞われることになりました。
 
この騒動の要因の一つとしては、政府主導で米の生産目標を決定し、生産量を制限するという、1970年から進められた減反政策です。2018年に廃止されますが、その後も政府が生産量の目安を示し、実質的には減反と同じように進められ、農家の生産意欲をそいできました。不作や今回のようなインバウンドによる消費増などは大した変動とは言えず、わずかな変動でも需給が逼迫するような生産量しかないというのが大きな要因で、今後も起こりうることだと考えています。
 
生産量のみならず、価格も市場で決められます。お米が余れば価格が下がり、今回の米騒動のように不足になればお米の価格は上がります。需要と供給のバランスで決められるので、本来米づくりで必要な価格、言い換えれば、再生産可能な価格は全く考慮されていません。そのようにして何十年も決められているため、私たち消費者も実際のお米の価値が分からない、もしくは、分かりにくくなっています。
 
農水省の5年ごとの発表では、米農家は2005年からの15年間で約半分にまで減少し、2020年時点で約70万人となっています。農家の減少スピードを考えれば、今の政府の政策と市場の仕組みでは、米農家を続けられないのは、この数字を見ても明らかです。農家は市場の動向を無視できず、生産費が上がっても価格に転嫁できない状況が続いてきました。

 

 


 

 

再生産が可能な価格を相談しながら

 


今回の米騒動をきっかけに、よつ葉でも今後の米企画の見直しを進めていきます。
 
これまでは作付け前によつ葉と産地・生産者が相談して価格を決めてきました。安定した価格で買い取りを保証することで、生産者が安心して米づくりができるとの思いからでした。しかし、インフレの時代にあって、物流費や資材の高騰などによる生産費の状況に合わせて、穫れ秋(収穫の時期)に価格を見直すことも必要だということが分かりました。
 
生産費を基本に、再生産が可能な価格を産地・生産者と相談して決めます。生産費が下がればそれに合わせて検討しますので、必ずしも値上げありきということにはなりません。今年の3月から予約登録を受け付ける2025年産予約米についても、同じ考え方で進めます。受付時には予定価格でご案内し、穫れ秋に価格を決定し、お届けするということになります。
 
今後の供給の見通しとしては、これまで以上に米不足になることが予測されます。昨年のお米が不作だった一方で、会員の皆さんからの注文数は例年以上に多くなっていますので、よつ葉で確保しているお米では、新米が出荷される8月までは不足してしまうことが確実です。残念ながら、供給を絞り、皆んなで分かち合うしかない状況ですので、皆さんのご理解とご協力をお願いします。
 
昨年、米農家の時給が10円というショッキングな報道もありました。地域の田んぼを耕作放棄地にしないために農家は踏ん張っています。私たち消費者が農家と米づくりの現状を理解することは、農家の意欲と継続の力につながる一歩です。そして、その一歩がこの先の食の未来にもつながることは言うまでもありません。昨年の米騒動が、米づくりの価値を改めて考える良いきっかけとなってくれることを願うばかりです。

 

 

よつ葉では毎年、米検査をよつば農産のスタッフが行なう

 

お米の価格の見直しについて
米騒動の背景と農家の現状