2025年3月号(167号)-4
惜別 おきたま興農舎 小林 亮さん
「亮さん、ありがとう」
能勢食肉センター 津田道夫
昨年12月27日、山形県「おきたま興農舎」の代表、小林亮さんが逝去されました。前夜、小林さんと長年ともに興農舎を支えてきた柳山さんから電話が入りました。「病院に見舞いに行った農家の人から、亮さんの意識がなかったと連絡が入ったので、津田さんには伝えておかないと…」。12月に入って入院されたことは聞いていたのですが、あまりに急な展開に絶句して言葉が出てきませんでした。
2002年、よつ葉連絡会が中心になって「地域・アソシエーション研究所」の設立準備を進めていたとき、全国各地の農村地域で独自のアソシエーションづくりに取り組んでいる現場を訪問し、その活動に学ぶところから始めようという話になりました。ぼくが訪問先に選んだのが興農舎で、初めてお邪魔した折には小林さんは不在でしたが、柳山さんがどこの馬の骨か分からない突然の訪問をこころよく受け入れていただいたのを昨日のことのように思い起しています。すぐ小林さんがおられるときに再訪。以来、何回となくお邪魔して、多くの気づき、教えをいただいてきたものです。
自然のなかで、過去・現在・未来へとつながる時間を引き継ぎながら、営まれる農家の生産と生活を地域まるごと受け止め、ちょっとでも元気な方へ進めていこうとしている小林さんたちの姿に、自分たちが能勢の地でやろうとしてきた活動の目指すものを見たようで、励まされてきました。ささいな風景や人の言動の裏に、鋭く本質を見る小林さんの発言に改めて考えさせられることがよくありました。決して能弁とは言い難い、けど、心に響くあの声が心によみがえってきます。
亮さん。最後に電話で話したのは11月25日でしたね。ぼくは電話した覚えがないのに「津田さんから着信があったから」と電話がかかってきて久しぶりに近況を伝え合って、「またいつでも山形に来てほしい」と言ってもらって。あれが亮さんの声を聞く最後になってしまうなんて。今ももっとなんであのとき、いろいろ話さなかったのかと悔やんでいます。思いは尽きません。でも、未来に向かって「おきたま興農舎」の今後に期待し、微力ではありますが、よつ葉連絡会としてもともに支え合って進んでいきたいと思います。亮さん、安らかに…。
能登だより
地域を越えて集える場を①
特定非営利活動法人パルシック 小栗清香
能登半島地震の発生から1年が経過しました。公費解体が進み更地になった場所も増え、「能登は復興が遅れている」とは言われるものの、少しずつ変化も感じています。パルシックはこの1年、能登町の仮設住宅入居者への生活家電の購入支援や、仮設住宅や公民館でのサロン活動、物資配付などを行ってきました。そして、今年の2月からは能登町で常設の居場所づくりをスタートしました。
震災後、仮設住宅に暮らす人、元のコミュニティに残る人、金沢などのみなし仮設(*注)で暮らし能登を離れた人など、人びとの住む場所は変わってしまいました。元々は同じコミュニティで暮らし交流する機会があったのが、被災状況や環境によって受けられる支援も異なり、一部の地域ではコミュニティがバラバラになり始めています。そこで、地域や今住んでいる場を越えて気軽に集まれる場、つながれる場が今の能登に必要だと思い、被災して営業を休止している町の健康増進施設「なごみ」をお借りして、カフェや子どもが遊べる場、運動スペースの運営を始めました。「なごみ」は元々、プールやお風呂もあり町の人がよく集まる場でしたが、残念ながら被害が大きいプールとお風呂は使えません。町はまだ施設の修繕などについて検討中のため、今後のことは決まっていませんが、使われない施設はどんどん悪くなってしまいます。施設再開の見通しがたつまで、少しでも気軽に立ち寄れホッとできる場になるよう活動を続けていきます。
(*注)…地方公共団体が民間賃貸住宅を借りて被災者に提供する制度
「なごみ」のカフェ
編集委員からの一言
わが家では長女がもうすぐ小学校の卒業を迎えるのですが、卒業式の服問題が勃発しています。今は女の子は結構な割合で、はかまの子が多いそうです。ちなみに男の子はスーツが多いらしいです。皆さんの頃はどうでしたか? ぼくは何を着たか、覚えてすらいませんが、「ちょっとよそ行きの服」ぐらいのもんでした。ただはかまはお手洗いに行くのが大変だし、着くずれしたら自分で直せない。締めつけで気分が悪くなってしまう子もいるらしく、経済格差などの問題もあり小学校によっては禁止する所や控えてほしいと要請する所も多いようです。
娘が通う小学校ははかまを禁止しているわけではありません。娘の周りの子たちもはかまが大半らしいのですが、うちの娘はわが道を行くタイプなので、周りが皆はかまでも自分は別に何でもいいそうで、こだわりがなく逆に困っています。
いまははかまは着付けもいらず、お手洗いなども簡単にいけるものもあるらしいです。娘が着たいものをなるべく着せてあげようと思っていましたが、まさかの回答に「どうしよう」となりました。出た結論は通販で店舗を問わず、スーツもはかまも片っ端から試着して一番似合うもの着ようと、卒業式の服探しに奔走しています。
(淀川産直 奥中宏之)