2025年6月号(170号)-4
くらしからのデモくらしー
麦のね宙ふねっとワーク
井口NOCO
日本三景天橋立のある宮津の「麦のね宙ふねっとワーク」(以下、「ムギフネ」)のNOCOです。食の安全に関心の高いよつ葉会員さん! 宮津市がゲノム編集魚をふるさと納税返礼品にしていることをご存知の方も多いかも? 2023年9月に「いりあい知」(本紙)に詳しく書かせていただきましたが、今回はその後に起こった信じられないような出来事をお伝えします。
「貴団体は当社に対し、名誉毀損行為、信用毀損行為、及び偽計業務妨害行為、著作権侵害行為を行っています。今後も誤った事実認識に基づく情報の発信を続けられる場合は、法的措置を検討せざるを得ません」
え! 「ムギフネ」ってそんな過激なグループなの? と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんね。私たちもびっくり! 2023年クリスマスイブ。ゲノム編集魚を販売するリージョナルフィッシュ社代理人弁護士から封書が届き、数人の弁護士にも相談、訴訟になるような内容ではないと確認し、「対話の機会を設けて話し合いましょう」とご返答しました。しかしその後、相手側は対話には応じず、1年の間にさらに過激さを増した3通の文書が届き、「刑事上の犯罪行為、民事責任、損害賠償、告訴を検討」や被災した建物への不法侵入容疑など(もちろん入ってなどいません)。まるで私たちが罪人であるかのように書かれ、対話に応じられない理由として、最低限の社会通念と事業者としての遵法精神が欠如しているなどと、心が押しつぶされるような言葉で苦しめられました。スラップという言論封殺の手段であることは明らか。
食の安全を求める3団体(「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」・「OKシードプロジェクト」・「日本消費者連盟」)が今年2月20日院内集会を開催、私たちも発言する機会をいただき、多くの国会議員との面談も叶いました。ゲノム編集であることを表示もなく流通していることや事業の不透明さ(37億円もの公的資金援助=政府はこの技術になにを期待しているのか? 安全性の担保、環境への影響についての基準など)について国会でも議論してほしいと思います。3月には宮津市で記者会見も開き、「ムギフネ」は今後も胸を張って取り組んでいく決意を新たにしました! 2021年世界で初めてゲノム編集魚の流通が始まりましたが、一般にはまだまだ出回っていません。今なら止められる! 消費者である皆さんの“くらしからのデモくらしー”で叶うと信じています。
上関中間貯蔵施設報告
当事者としての応援の声を!
上関加工生産グループ CPAO
山戸 孝
2023年8月、中国電力による申し入れで浮上した山口県上関町における使用済み核燃料=「核のゴミ」中間貯蔵施設建設の問題ですが、町長による拙速な調査容認を経て、予定地の地質調査は2024年11月に終わりました。現在は調査結果のデータを基に予定地が適地かどうかの判断と、適地となった場合の施設計画の概要を中国電力がいつ示すのか、といった状況です。
この間、地元では新聞社によるアンケート調査で計画に賛成44.3%、反対44.8%(回答者421人、町の人口は約2300人)と賛否が拮抗する数字が出されました。長年の原発賛成7割、反対3割という比率が崩れ、町長や議員など原発推進派の有力者の間に大きな動揺が走りました。私自身、何人もの原発推進派の町民から「原発はいまさら嫌だとは言えんが、中間貯蔵は来てほしくない」といった声を聞いており、当初の予想以上に反発は広がっています。これは近隣の自治体も同様で、全自治会が独自にアンケートを取り7割が反対という結果をもって行政や県に申し入れをした自治体もあれば、今年2月の町議選挙で中間貯蔵に反対する議員が当選者の半数を占め、議会で建設反対決議をした自治体もあります。まだこの計画を止める余地は十分にある、そう感じています。
さて、去る5月11日には上関で長年自然保護の活動をされている「上関の自然を守る会」のシンポジウムが、まさに関西電力のお膝元である京都で開催され、そのなかで「議会から見る中間貯蔵施設問題」と題して現地からの報告をさせていただきました。会場には関西よつ葉連絡会の関係者をはじめとして、これまで祝島でお会いしたことがある方に多数お越しいただき、上関の原発反対運動が関西の多くの方々に支えられてきたことを改めて実感しました。関西電力の核のゴミも貯蔵する計画である上関町の中間貯蔵施設計画に対し、関西の皆さまもぜひ当事者としてこの無責任な計画に「NO」の声をあげ、引き続き現地への応援の声をいただければと思います。
(下記に署名のご協力集約報告)
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「上関中間貯蔵の撤回を!」署名
たくさんのご協力ありがとうございました
4月15日を〆切として、よつ葉でお願いしていた「上関中間貯蔵の撤回を!」署名は会員さんを含め4500筆が集まり、郵送しました。たくさんのご協力ありがとうございました。全国では25万2478筆が集まりました。上記で山戸さんが書いているように中間貯蔵施設について、多くの反発が出ているようで、少し安心しました。
ただそのような住民の意向に耳を貸さずに進めてきた経緯もあるので、予断を許さない状況ではあると思います。今後も注目して、発信していきますので、ご支援よろしくお願いします。
(関西よつ葉連絡会事務局 松原竜生)
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編集委員からの一言
第二次トランプ政権の関税政策で世界が右往左往しています。「自由貿易によってアメリカが不当に損をしている」という理屈ですが、各国が国内の産業を守る措置を取っていることを「悪」とし、自由で開かれた貿易を強引なやり方で進めてきたのはどこの国? と言いたくなります。日本の農林水産業自体、そういう流れのなかで輸出産業のいけにえとなって衰退し、現在陥っている米不足や価格高騰などはまさにその表れ。
国内産業を活性化し「アメリカを再び偉大に」すると言っていますが、まずそうはならないでしょう(そもそも本当に「偉大」なときがあったのか? という気もしますが・・・)。そして、この原稿を書いている段階では「アメリカ以外で制作された映画に100%の関税をかける」と言いだしています。
他国が映画製作者やスタジオの誘致に優遇措置を提供していることを「国家安全保障上の脅威」だと(もはや訳分からん!)。そもそも映画に100%の関税って、どう計算するんですか? チケットが5000円くらいになるってこと? 一体それで誰が得をするのでしょうか?
(関西よつ葉連絡会事務局 松原竜生)