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よつ葉ホームデリバリー

2025年6月号(170号)-4

 

 

今だからこそ若者に考えてほしい

能登半島の一住民より

 

原子力発電について考えなおすきっかけは、昨年元日の地震でした。志賀町にとって地震・津波は初めてのことではありません。「二度あることは三度ある」と言われるので、多分また起こるのではないでしょうか? 原子力の町として地元は恩恵を受けていますので、原子力発電所の近くに住む地元住民の反対(廃炉要求)は、現在ではほぼ聞いたことがありません。能登半島では2007年3月25日と昨年の元日の2回、大きな地震が発生しました。2007年に比べて2024年の方が広範囲な被害となりました。今回の震災でいかに耐震補強工事が大切なのかを確認できました。志賀原子力発電所は東日本の地震で対策がされてあったので、津波被害はありませんでした。しかし、近くの港は対策以上の津波が来て、大きな被害に遭いました。もし想定外の津波が来て「原子力発電に事故があったら」と考えると、私には疑問が残りました。
 
◆原発政策について

 ①戦争被爆国だからこその教訓(原子力に対する恐怖心など)は活かされているのか? ②なぜ過疎地域に原発が建つのか?
 
◆安全対策について(東日本大震災からの教訓は活かされているのか?)

 ①行政からの指示や対応の遅さ、行政と地域との連携の脆弱さ②200軒近くある地区で避難所が2教室分しかなく、避難者の多くが入れなかった。③避難訓練では避難に海を使うということだったが、実際には津波被害で現実的ではなかった。④金沢に避難する道は亀裂が走り、迂回せざるをえなかった。⑤地震から1年半以上たつのに北陸電力から被害や安全性などの説明が全住民に届いていない。⑥災害の想定はどこまで?(志賀原子力発電所に震度10が来たらどうするのか? 志賀原発付近の防波堤は海抜15m〈*世界最大の津波は524m〉)
 

 だからこそ、今後について考えるいい機会なのではないでしょうか? 地元には風力発電もありますが、これも安全性などに疑問を感じています。ただ今の時代、電気がなかったら生活するのは厳しいとも思います。賛否それぞれの理由や背景。未来の子どもたちのために何が必要なのか? 皆さんも一緒に考えてみませんか?

 

 

 

能登便り

子ども食堂の拡がり②

 

 

特定非営利活動法人 パルシック

小栗清香

 

パルシックは今年2月から能登町の七見で、町の被災した施設「なごみ」の一部を利用して、地域を越えて人びとが集える場づくりを開始しました。「なごみ」から車で2~3分の距離にある鵜川地区は、地震の被害が大きかった地域で公費解体も進み、商店や酒蔵が並んでいた通りは、今ではほとんど更地になっています。震災前は公民館を利用していた学童保育が、今は小学校の普通教室を使って運営されていたり、「なごみ」にあった町内唯一の室内プールも、被害が大きく使えなくなったりして、震災によって子どもたちがのびのびと過ごせる場、遊べる場が減ってしまいました。そこで子どもたちが少しでも自由に過ごせる機会をつくろうと、「なごみ」で子ども食堂を始めることにしました。

 

 奥能登は子ども連れで気軽に食事をできる場が限られているため、仕事終わりの親御さんの負担も減らせるよう、平日の夜に開催しています。調理は近隣に住む人たちがボランティアで手伝ってくれています。能登町では震災前は子ども食堂の開催はありませんでしたが、震災後、「地震によってストレスを抱えている子どもたちのために」と子ども食堂を開催する動きが拡がっています。能登町の人口はおよそ1,000人減り、特に子育て世帯の流出が深刻です。能登に住む子どもの数は少ないですが、能登の未来を担う子どもや若い世代が少しでも安心して、この地で暮らしていけるよう活動を続けていきます。

 

60~70人程度参加する子ども食堂

食事もおいしいと好評です。

 

 

編集委員からの一言

 

 小泉進次郎農林水産大臣が備蓄米を放出し、コメ2000円宣言が話題となった。消費者からは大歓迎の声が多く寄せられているようだが、米農家からは、どんな声が多く寄せられているのだろうか?
 
新聞で「コメの〈適正価格〉は?」という見出しが飛び込んできた。全国19紙が合同でアンケートを実施。店頭でコメ5キロを購入する際の「適正価格」を尋ねていて、消費者からは2000円台が5割を占めた一方、米農家は3000円台が4割を占め、一定の差がある結果となった。また10年後の米の供給については「不安がある」と答えた割合は両者ともに85%を超えている。
 
「サラリーマンの平均初任給は1970年2万円→2023年18万円」、「コメ5キロは1970年1万円→2023年7000円。」その現状に「誰も田んぼなんかするわけない」と若手農家の声。農家戸数は1970年約460万人→2020年約70万人。米農家の平均年齢は69歳。米づくりの現場はもう待ったなしの状況だ。「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」と、そんな米農家の叫びが聞こえてきそうだ。

(よつば農産 横井隆之)