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よつ葉ホームデリバリー

2025年9月号(173号)-1

報告 関西令和の百姓一揆と食の未来

米問題は私たちの生命に関わる課題です

 

 

 

 今年3月30日に行われた〝令和の百姓一揆〟(本紙6月号3面「いりあい知」参照)以降、全国各地で農政の転換を求める取り組みが続いています。そうした各地の動きに続こうとよつ葉もさまざまな団体や市民と一緒に、7月12日(土)に代表の菅野芳秀さん、アグロエコロジー研究者の池上甲一さん(近畿大学)をお招きして、シンポジウムを行いました。菅野さんからは農村の現状と〝令和の百姓一揆〟に込めた想いを、池上さんからは米騒動の背景にある農政の問題や今後の方向性についてお話いただきました。シンポジウムではよつ葉の生産者である丹波ハピー農園の堀悦雄さんにも登壇してもらいました。会場からは質問や感想が次々と寄せられ、さまざまな立場からの多様な意見に触れることができました。

 

“令和の百姓一揆”代表の菅野さん

 

 

関心の高さを実感

 

ひこばえ   福井 浩

 

 

 「〝令和の百姓一揆〟の集まりを関西でもやれないだろうか」と声をかけられたのは、小泉進次郎氏が農林水産大臣に就任した直後のことでした。小泉氏は就任してすぐに、備蓄米を店頭価格5㎏2000円程度で並べるために大量に放出することを表明しました。これでは今回の「米騒動」は単に価格の問題にすり替えられ、ひいては米の輸入自由化にまで道筋をつけられてしまいかねない、という危機感がありました。
 
 ちょうど7月の参議院議員選挙を目前に控えていた時期でもありました。選挙の争点としてお米の問題、日本の農業政策の問題を取り上げてほしい、という思いもあり、あえて集会の日取りを選挙期間中の7月12日として、立候補者には公開質問状も送りました。
 
 当日は準備期間がほとんどないなかでも、よつ葉の会員さんや職員、農家の皆さんをはじめ、オンラインも含めて200名以上の市民に集まっていただきました。それだけ関心が高いということを実感しました。
 
 現在の農政では多くの農家は米づくりを続けることができません。そして農家が米づくりを諦めたら、誰よりも困るのは私たち消費者です。
 
 関西よつ葉連絡会は微々たる力といえども、これまで以上に農家の米づくりの支えとなるように頑張ります! 同時に、集会では菅野さんから「国民皆農」が提案されました。私たち一人ひとりの問題として、米づくりを考え、行動していきたいと思います。

 

 

 

本当は食べる人の問題

 

       丹波ハピー農園  堀 悦雄

 

 

  「関西 令和の百姓一揆と食の未来」の座談会に登壇参加しました。昨夏より続いた米騒動で値段が急に高騰してその上、米がないので社会全体がパニックになりました。時がたち、少し落ち着いたような(諦めたような)感じで参議院議員選挙もあったので話題がマスコミから消えていきました。しかし、私たちの食の未来には何か改善があったでしょうか?
 
 今集会の菅野芳秀さん、池上甲一さんの講演で(時間が短く充分なお話が聞けなく残念でしたが)、菅野さんの百姓の身の上だけでなく食べる人たちへのあふれる愛情と池上先生の政治、行政の空回りぶりに私は「うんうん」とうなずいていました。その後のパネルディスカッションで私も少しお話をさせていただいたのですが、農業についての問題はそのほとんどの事柄で本質は百姓の問題ではなく、本当は食べる人の問題なのだと思いました。
 
 極端な話をすると、ドン詰まりは百姓は自分の分だけ残して百姓を止めればいいのです(熱い炎天下で稲の世話をして時給10円? その上「農業ばかりを過保護にしてる」とまで言われて)。しかし、菅野さんのような人類愛にあふれた百姓がこの日本にはまだたくさん生き残っています。でも、その愛ある百姓も高齢化と後継者不足で先が不安です。
 
 「国民皆農! すぐにはできないよう~」と言うあなた! 今こそあなたの出番です。「国民を飢えさせるな! 私たちは兵糧攻めは嫌だ!」と声をあげるときではないでしょうか。「百姓一揆」と言うが、本質は食べる人たちの生命の、そしてこの社会の未来の問題なのだと思いました。集会の後には京都駅前で街宣を行いました。

 

 京都駅前で街宣に立つ堀さん

                   夢と希望のある農業にしていくために

 

    西京都会員  森永文子

 

「関西 令和の百姓一揆と食の未来」のチラシを見つけ、祇園祭りの始まる猛暑のなか参加しました。すごく広い会場なのに満員でした。2002年から京都で農薬や添加物を気にしながら三人の子どもを大きくしました。おきたま興農舎の無農薬米を当時は毎月7袋食べていました。
 
 『生ゴミはよみがえる―土はいのちのみなもと』(菅野芳秀著)という本を公文の四年生向きの国語の教材で知り感動し、すぐに図書館で借りました。家庭から出る生ゴミを市で集めコンポストセンターで堆肥にして、農村の土に戻す循環のプロジェクト(レインボープラン)の話です。山形県の置賜地方、長井市と市民そして菅野さんたちが、8年もかかって諦めずに実現しました。
 
 こんなことをする農業従事者(百姓)が置賜にいると感心していると、よつ葉のカタログに載っていた『タマネギ畑で涙して―タイ農村ふれあい紀行』(山下惣一著)でタイ農村の搾取の有様を知りました。養老孟司は都会と農村の住民の参勤交代をやるべきだと言っています。
 
 そして今回、虹色米の堀さんも、「何でもいいから、みんなで土を触って何かをつくってみようよ」と呼びかけていました。農業を〝やりたいと思える職業〟のひとつにするために、夢と希望のある農業にしていくために、町の人は知らんぷりするのはやめて関わりましょう。