2026年3月号(180号)-4
本紙12月号「戦後80年」
「平和への願い・決意をつなぐ」感想
いつも同じように続ける難しさ
昨年2025年の本紙12月号では戦後80周年の節目としてよつ葉に関わるさまざまな立場から「平和への願い・決意をつなぐわたしたちにできることを考える」と題し、寄稿していただきました。またその記事に読者からいくつかの感想をいただきました。
普段より多くのご感想をいただけたことは80年という時間を経ても世界で繰り広げられている戦争と軍備への危機感の拡がりが伺えます。そんな時代にそれぞれの想いや経験を共有することは重要だと思っています。一部ですが、紹介させていただきます。
●いつもありがとうございます。
いつも同じように続ける、いつもそこにあり続けることの難しさを感じる昨今です。
お話にあった「それが未来世代にとっても有意義であるかどうか」を考えること、迷いの多い時代の指針になりそうです。
今も大事ですが、今が続いていく明日もちょっとは考えておかねばなりません。
暗い時代だからこそ、明るい未来に託すのも心が強くなり良いですね。
今号も、本当にありがとうございました。
〈サカモトキッチンスタジオ 坂本佳奈〉
●政治家も戦争を知らない世代に交代して、危ない話が飛び交っています。
1945年8月、日本が戦争に負けた時、こんな悲惨な戦いは二度としたくないと多くの日本人が思ったはずです。
そして、戦争の実態を子どもたちに伝えた人も多かったでしょう。
私も父から、中国で戦闘後の片付け作業中にいきなり銃撃されて隣にいた人が倒れ、あわてて逃げ帰った話を聞きました。
敵も「自分たちの国を守る、家族を守る」という思いで鉄砲を撃っています。
同じ思いの若者が殺し合いをするというのが戦争です。
今は悲惨な実態が見えにくくなっていると感じます。
軍事費をなくして全部を、いや一部でも福祉に回せればどんなにか豊かな国になることでしょう。
〈大学職員 金川貴博〉
スペースの関係で、すべてのご感想を掲載できないのは残念ですが、過去は現在、未来へとつながっているものであり、現在を省みる上で、指針となることを80年を節目に再確認することができます。今後もご感想、ご意見などをお待ちしています。
(編集部 矢板 進)
生産者リレーエッセイ
50周年 その先へ
「農福同根」の実践震災から15年、
突きつけられた不条理
高橋徳治商店 高橋英雄
関西よつ葉連絡会の会員の皆さま、カンパを送っていただいた皆さまには、震災直後からこれまでの熱く長いこころからのご支援に改めて深く感謝申し上げます。
阪神淡路大震災から31年目、そして東日本大震災、あれから15年になります。といってもいわゆる「節目などない」と言う人はたくさんいらっしゃる気がします。被災地石巻の現在の姿は、街に歯抜け状態の空き地があり、もともとあった中心街の空洞化には拍車がかかり、人の心にも空き地や空き家、心の空洞化をどこか感じられるのは私だけではないと思います。
思えば、隣町に生活拠点を借りながら関西から宮城県石巻市まで往復ほぼ2000㎞をワゴンで何往復も交代でよつ葉の多くの職員の方々に支援を、確か3カ月を超えて続けていただきました。そのなかで、水没した中型機械類30台を洗い、ヘドロを50t掻きだしてもらいました。
この15年で亡くなったよつ葉のお二人についての話です。Aさんは持ち込んだ農業機械の修理に長(た)けヘドロ(津波堆積物)まみれで頑張っていましたが、直接的に“被災現場の持ついわば言葉を失う惨状(の気)”に触れ、精神的にも肉体的にも疲労が重なったのでしょう、大阪に戻られてから急逝されました。ご焼香でお邪魔したAさんの遺影は何かを語りかけているようで記憶に深く刻まれています。Bさんは一番長く何カ月も当社に張りつき身体も声も大きくリーダー的な存在。初めは慣れず、私に怒られていた現場の指示もやがて上手く出せるようになりました。お酒が大好きで酔えば関西弁と出身の青森県津軽の方言が混ざった彼の言葉が出てきます。
大阪に行ったときは、この社会に対して彼が抗ってきた原点の現場での経験や社会への憤りを語ってくれました。退職してから生活も乱れ入退院を繰り返し、会って飲むたびに二人で肩を組んで大きな声で歌(うだ)っこを歌(うだ)いながら夜道を歩き、「津軽に帰りたい! 帰れない! 帰るときは必ず! 石巻に寄るから」。その約束は果たせないまま、昨年この世を去りました。高齢者が語ったまさに空爆の後のように遺体が転がり、何もなくなった災禍の光景を前に心の深いところで何を受け止めたんですか? 生きていくことの目の前に突きつけられた、言葉にできない不条理が立ちはだかり生きる意味を見失ったのかも知れません。こんな生きづらい世のなかに襲った災禍、22000名の死、被災者も支援者も何かを突きつけられたのですが、「残されたあなたたちはどう生きるんですか」と問われ続けているんだと。震災で壊れた多くの人たちのこころに笑顔という灯りをともすためまだまだ頑張ります。有難うございました。
編集委員からの一言
浜岡原発の再稼働に向けた安全審査で、中部電力が使用するデータについて不正を行っていたことが発覚しました。しかし、これについては2025年の2月に原子力規制委員会に対し内部告発があったもので、中部電力が公表するまでの間、1年近く表に出なかったことになります。一説には、柏崎刈羽原発再稼働への影響を考慮して、そのメドがつくまでタイミングを計っていたとも…。何にせよ、中部電力だけでなく原子力規制委員会の体質も問われるべきものだし、「原発」という存在が、本質的にさまざまなかたちで不正を行い、欺きながらでなければ建設も稼働もできないものだと、不祥事の数々が教えてくれます。
ひとつ希望を感じるのは、その告発が恐らく内部の技術者からのものだと言われている点です。原発に限らず科学技術に携わる人々の多くは、本来「科学の力で人々を幸せにしたい」という想いを持って、その道に進んでいるでしょう。自らの仕事が福島で起きたことのように全く反対の役割を果たすと気づいたとき、自分の良心に嘘をつけない人も多くいることは想像に難くありません。そういう人がどんどん「こちら側」に協力してくれることを期待します。
(関西よつ葉連絡会事務局 松原竜生)
