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よつ葉ホームデリバリー

2026年7月号(183号)-3

 

 学校を『無香料』に!

― 香害は家の洗剤を替えるだけでは防げません

 

カナリア・ネットワーク全国

 

 

 

 2010年代、柔軟剤の香りを感じると鼻・喉・目などの粘膜炎症や疼痛、腹痛、頭痛、関節痛や吐き気、目眩(めまい)や動悸が生じるといった訴えが上がり始めました。香料製品の製造工程では複数の化学物質が配合されていますが、商品表示には「香料」とだけ書かれているのです。現状では消費者に製品成分の全容を明かす法規制はありません。
 
1990 年代に社会問題となった「シックハウス症候群」は、建材などに含まれる化学物質の一部が原因物質であると明らかにされ、それらの物質に繰り返し症状を呈する人たちは、「化学物質過敏症」と診断されました。やがて香害が起きると、シックハウス症候群から「化学物質過敏症」を発症していた人たちからも、「柔軟剤が辛い」との訴えが相次ぎます。
 
シックハウスは「病気を起こす家」。発症者たちは家を改築し健全にしたものの、今度は柔軟剤の香りで健康被害を受けました。生活空間全体の空気が病に侵されたのです。同時に、柔軟剤などをきっかけにする「化学物質過敏症」と診断される人が急増しました。室内に汚染源があったシックハウスとは異なり、香害は生活環境全体に汚染を広げていき、原因物質の測定も特定も難しいのです。
 
そして、柔軟剤の香り添加技術は、人間がもともと持つ嗅覚の特徴を逆手に取ったような製品でした。嗅覚は指紋以上に個人差があるようです。また、受容の器官とも言われ、ものの数分で感覚が麻痺し、良い香りも嫌悪するニオイも受け入れ、感じにくくなる特徴を持ちます(嗅覚順応、嗅覚疲労)。そのため、職や住居も失うような被害を受ける人がいても、その苦痛は周囲の人たちには理解されにくいのです。化学物質過敏症発症者は苦痛を訴えれば訴えるほどに、詐病かほかの病気と考えられて、距離を置きたい人格と見なされます。

 

 

 

●香りを長持ちさせる技術 マイクロカプセル

 

 

 この10数年、行政や企業に香害や化学物質過敏症を訴えても「科学的根拠」を盾に、対策も対応も取る様子はありません。そこで、「個人の訴えだけでは限界がある。空気の異変を群れになって訴えよう」と、私たちは考えました。やがて、年月を経てこれは一部の発症者の問題ではないことも解明されました。香害は香りを長持ちさせる技術が関わっています。
 
微小なプラスチックカプセルを利用した技術開発が、香り長持ちの柔軟剤や消臭剤などの商品製造を可能にしました。その特許が申請されたのが、2000年代の半ば頃でした。マイクロカプセルは1/1000ミリ単位で表され、PM2.5と同様に肺胞に入り込みます。マイクロプラスチックは脳や前立腺、血管などからも発見され、世界各国の医学、環境などの専門家たちの警鐘は続いています。
 
この「マイクロカプセル香害」をなくすのは、今日から誰でもできます。それは、香害を招く商品を購入しないこと。柔軟剤は合成洗剤を使用するために開発された商品でした。洗浄力も繊維の安定も石鹸が優れています。環境への負荷も少ないものです。合成洗剤が優れているのは、安価に大量生産できる点。そして、製造に資金がかからない分、宣伝資金に充当できること。
 
企業としては実に優れたドル箱製品なのです。こうした商品の魅力を引き上げるのに、一役買ったのが「体臭を消すための香り」「感染症予防のための抗菌剤」でした。いずれにもマイクロカプセル技術が使われています。生活用品のこうした技術にも成分にも、法規制や基準はありません。商品棚に並ぶ製品のどこを見ても、消費者の選択に必要な情報は書かれていないのです。
 

 

●消費者の声はまだまだ小さい

 

 
香害被害者たちは、試行錯誤してマイクロカプセルを撮影し可視化したり、科学的根拠を求めて諸外国の調査研究にあたり、香害についての対策や対応(フレグランスフリーポリシーなど)を探し出し、行政に被害実態を調査するよう求めています。一方、この数年消費者庁をはじめ、7省庁連名で「香害周知ポスター」をつくりましたが、内容もその周知のあり方も、多くがアリバイ的です。それはまだ多くの消費者が柔軟剤や合成洗剤を購入し、消臭剤を当たり前のように噴霧しているからです。マイクロカプセル香害は、誰にも等しく影響があることに気づいておらず、消費者として問題視する声がまだまだ小さくか細いのです。

 

 

●学校で被害を受ける子どもたち


 

 
実は、すでに電車などの座席には、マイクロカプセルがかなり貼り付いています。カナリア・ネットワーク全国では「移香の実証実験」を専門機関に依頼し、それを証明しました。香害は自分の家の洗濯洗剤を替えるだけでは防ぐことはできません。家庭内から公共機関へ「マイクロカプセル香害」を周知していくことで、「無香料」が社会に広がります。その手がかりとして、教室を香害から守ること。香料に侵された嗅覚は、数カ月無香料の暮らしが続けば、香害を感じる嗅覚に変わります。そのとき初めて、人々は異様な世界で暮らしていたことを実感するのです。
 
今般「カナリア・ネットワーク全国」が行っているオンライン署名「学校を『無香料』に!」は、文部科学省に以下を要望するものです。①「学校環境衛生基準」に香害対応項目を追加すること。②全国の教育委員会に「無香料推奨」を通知し、小・中学校への周知を進めるよう指導すること。教室に子どもたちが在席する時間の空気測定は直近の課題です。現状の空気測定は、「学校環境衛生基準」により無人の教室でのみ行われています。「カナリア・ネットワーク全国」は、香害被害を体感している人、活動主旨に賛同する人は、どなたでも会員登録ができます。また、オンライン署名(紙署名もあり)はどなたでも。ぜひ、ご協力をお願いします。