2026年7月号(183号)-2
農業の守りを強くする食品加工
■フルーツバスケット(静岡県函南町〈かんなみ〉)■
1987年設立。原材料は「顔の見える関係」を大切に国内で契約栽培されたものを使用。添加物を使わず、素材そのものの味を生かし、“子どもたちの未来のために”をモットーに加工食品をつくっている。

戎谷(えびすだに)さん
フルーツバスケットは箱根の南に位置する函南町丹那という酪農の里で食品加工を営み、今期で40周年を迎えます。よつ葉さんとは80年代のLLミルク(高度の殺菌と特殊なパックに無菌充填しているため、常温で2~3カ月保存が効く)の反対運動からのお付き合いですね。当時一緒に闘った親会社「大地を守る会」が低温殺菌牛乳を開発した縁で、この地に誕生しました。熱かったあの季節を思い出しながらこの手紙を書いています。フルーツバスケットは「日本の第一次産業を守る」をモットーとし、契約農家が大切に育てた果物をメインにジャムやシロップ、ジュースなどを製造する他、全国各地の食品会社と提携してさまざまな加工品を開発してきました。自社工場には原料のほとんどが原体のまま産地から届けられ、皮むきなど一次処理から始めます。りんご、みかん、苺…果ては石垣島のパイナップル等々。山梨の桃など、産地まで直接引き取りに行くものもあります。皮や搾りかすなどの残渣はすべて堆肥となり、地元農家に活用される「資源」として循環しています。昨今、食品ロスの問題が社会課題となっていますが、40年前から当たり前のように取り組んできたものです。
仕事しながら思うのは、農業を城にたとえれば、加工には「堀」や「蔵」のような役割があって、はじいた規格外品にも価値を与え、経営を支える、守りを強くさせるものだということです。安い輸入原料に頼るのでなく、日本の農業を守り、食の安全と環境との調和を支える一角を担いつづけるためにも、これからもよつ葉のみなさんとも連帯しつつ、生産者としっかりタッグを組んで前に進んでまいります。
(戎谷徹也)
土地の個性をチーズで表現!
■共働学舎新得農場(北海道新得町)■
「地域とともに」をモットーに、香川県産の魚を中心に、できる限り地元原料にこだわった水産加工食品を手がけている。漁協、漁師たちと連携しながら、地元漁業を未来へつないでいく取り組み「伊吹島プロジェクト」も進めている。
スタッフの皆さん
十勝の個性とは何でしょう? まだまだ判ってはいません。大手さんはチーズのメイン工場を十勝に持ってきています。大手工場はチーズづくりに適した場所を選べますが、共働学舎が簡単に牧場を移すことはできません。それではこの土地でできる最高の味をつくろうではないか! そう思って創(はじ)めた牧場で、世界のチーズの味に通用してしまいました。
環境と土の提供してくれる微生物がチーズの味を良くしてくれるのか、初めは苦労しましたが、発酵微生物に接しているうちに判ってきたことがあります。その場の最高の免疫力を示すのは、自然に生えた植物でしょう。その植物たちを食べて出される乳は、その土地の個性を受け継いでいると言ってよいでしょう。その時の条件は、乳を殺菌しないことでしょう。ここで無殺菌乳の意味がやっと導かれてきます。発酵させることで食べものとして「安全」なものになるということを、日本の食文化では二千年も前から経験しています。殺菌することで安全を確保するというイメージは、二〇〇年ほど前からのものでしかありません。きちんと発酵させれば、安全だということは、長い食文化のなかで示されています。
しかし、気をつけることは鉄文化、電気文化が微生物の働きに悪い影響を及ぼすということです。離乳した後に再び免疫力を持たせるよう乳製品を食すことが必要です。そのためには乳糖を消化できなくなっているわれわれ大人は、乳糖のないチーズを消費しなければなりません。難しい理屈はいいとしても、おいしいチーズは健康のためにも必要だということを理解し、もっとおいしいチーズをたくさん食べてほしいですね。
(宮嶋 望)
ちょっと寄ってみ。
憲法は権力が暴走しないためのルール
阪和産直会員 篠原登子

阪和産直の会員の篠原と申します。田舎暮らしに憧れ、15年前に神戸から和歌山に移住しました。大学職員として働く傍ら、「天野の里づくりの会(かつらぎ町)」で地域の魅力を広め、次世代へつなぐ活動や、フリースクール「つくるがっこう イホルラ舎(橋本市)」の運営のお手伝いなどもしています。2021年には環境活動家・谷口たかひささんの講演会参加をきっかけに、県内在住女性7名で「わかむすび」というグループを立ちあげました。環境・人権・政治などをテーマとした講演会・学習会の開催や、選挙時にはSNSで候補者・各党の政策、争点などについて発信しています。今回は5月に実施した講演会についてご報告します。
講師の楾(はんどう)大樹先生は憲法入門書『檻の中のライオン』の著者で、広島在住の弁護士です。憲法を「檻」、権力を「ライオン」に例え、軽妙な語り口で解説する講演活動で全国を駆けめぐられ、その数は1400回を超えます。今回、「わかむすび」では4会場で講演会を主催しました。小学生から年配の方まで幅広い年代の参加者が、先生の熱弁に引き込まれ、時に笑いの渦に包まれつつ、憲法の重要性を学びました。
講演会は「憲法を守らないといけない(遵守する)のは誰?」の質問で始まります。①国民みんなだ!②国民みんなじゃない! 正解は「②」。憲法遵守の義務を負うのは公務員や政治家などの権力を持つ側です。憲法は権力が暴走しないよう、歯止めをかけるためのルール、という大前提を理解しているか否かで、憲法の見方はガラリと変わります。近年の政治を巡る諸問題を憲法の視点で紐解いていただくことで「ライオン(権力者)」たちが「檻(憲法)」を壊そうとしている、あるいはすでに壊しているのでは? との懸念を共有することができました。憲法に縛られているはずの権力側が改憲に前のめりとなっている今こそ、主権者である私たちは、憲法を知り、守る(擁護する)意義について考え、政治に関わっていく必要があると、強く感じました。
楾先生の講演会はYouTube公式チャンネルで公開されています(右上QRコード)。ぜひご視聴の上、講演会開催に興味を持たれた方は、楾先生のブログをご参照ください。

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檻の中のライオン
